四半期決算発表も進み、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の決算が出揃ったので比較してみました。
GAFAMの売上高比較
四半期売上高の比較
まずは最も最近の四半期決算の売上高比較です。
売上高の点ではAppleの843億ドルがトップですね。
2番目のAmazonが724億ドルで、この2社がトップグループという感じですね。
3位がアルファベット(Google)の393億ドル、4位が325億ドルのMicrosoftでした。この2社が第2集団と言えそうです。
5番目のFacebookが130億ドルで、他の4社とはまだ大きな開きがありますね。
2018年度の売上高比較
会計年度の2018年度における各社の売上高比較です。Appleは9月期がQ4で、Microsoftは6月期がQ4になります。その他は12月期がQ4です。
年間の売上高も四半期と同じ傾向が見て取れますね。
トップはAppleの2,656億ドルでした。現在の日本円にしておよそ29.2兆円にもなります。iPhoneの低迷とか色々言われてますが、この数字をみるとそんな簡単に傾く会社ではないように思いますね。
2番目はAmazonの2,329億ドルで、こちらは日本円で25.6兆円の売上高でした。Appleとの差はざっくり3.6兆円です。差が少ないようで実は金額的には相当でかいですね。
あとはGoogleが1,368億ドル(15兆円)、Microsoftが1,104億ドル(12.1兆円)、Facebookが558億ドル(6.1兆円)でした。やはりFacebookの売上高はまだ他には届いていないですね。
年間売上高の成長率
2018年度売上高の成長率を比較してみましょう。
成長率の観点では先程と逆転してFacebookがトップでした。2018年度は+37%の成長となりました。
2番目はAmazonの+31%です。成長率の点でも2位に位置づけており、Amazonの強さが伺えますね。
3番目がGoogleの+23%、次いでAppleの+16%、Microsoftの+14%となりました。この中ではAppleとMicrosoftの伸びがちょっと弱く感じますね。
本業の儲ける力を比較
営業CFの比較
次に本業の儲ける力である営業キャッシュフロー(2018年度)を比較してみましょう。
この観点でのトップはAppleの774億ドルでした。次いで2番目はGoogleの480億ドル、3番目はMicrosoftの439億ドルでした。
少し離れてAmazonが307億ドル、Facebookが293億ドルでした。
金額の点ではAppleの圧勝ですね。
営業CFマージンの比較
売上高に対する営業CFの割合である営業CFマージンを見てみます。この数値が高いほど「儲けの構造」をしっかり築いているといえます。広瀬さんの「
MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法」によれば、営業CFマージンが15〜35%の企業を狙うべしとあります。ちなみに米国株の平均は12%程度のようです。
GAFAMの中で営業CFマージンが最も大きいのはFacebookの52%でした。先程の基準と照らし合わせると驚異的に大きい数字ですね。あまりコストを掛けずに儲ける仕組みができあがっていそうです。
次はMicrosoftの40%、そしてGoogleの35%と続きます。この2社もかなり高い水準の営業CFマージンですね。特にMicrosoftは売上高成長率が低かったのに対してこちらは高水準です。企業としては成長期というよりは成熟期に入り始めている印象ですかね。
4番目がAppleの29%でこちらも高水準といえますね。Amazonの13%は先程の基準からすれば物足りない数値です。Amazonに関しては利益をしっかり出し始めたのが最近のことですから、今後に営業CFマージンが伸びていくかに注目したいと思います。
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事業別の比較
広告売上高
ここから事業別に少し比較してみます。まずは2018年度の広告事業の比較です。
GAFAMの中ではGoogle、Amazon、Facebookが特に広告事業に力を入れていると思いますので、この3社で見てみましょう。
Amazonに関しては明確に広告事業の売上高を公開していないため、広告事業を含むOtherセグメントの売上高をそのまま使っています。
売上高の観点ではGoogleの1,163億ドルがトップでした。やはりこの事業ではGoogleの地位はまだまだ強いですね。
2番手はFacebookの550億ドルでした。規模的にはGoogleのちょうど半分程度でしょうか。
Amazonは101億ドルと、Googleの1/10程度、Facebookの1/5程度といった感じです。実際の数値はもう少し小さいでしょうから、Amazonの広告事業はまだまだこれからという印象ですね。
広告事業の成長率
次に広告事業の成長率を見てみましょう。
この点ではAmazonが+117%と前年同期比で倍増以上の成長を見せています。まだ事業の初期フェーズでしょうから今後も高い成長率を期待できそうです。
2番目にFacebookの+38%、次いでGoogleの+22%となりました。Amazonの成長率に比べれば小さいですが、GoogleやFacebookの規模の企業でもまだこれだけ成長できるということに驚きです。
クラウド事業の成長率比較
今度はクラウド事業について比較してみます。対象はAmazonのAWS、MicrosoftのAzure、そしてGoogleのGCPです。
このうちGCPについては売上高等の具体的な数値が非公開なため、GCPを含むGoogle Other部門の数字を使用しています。
AWS以外は売上高の数字が非公開ですので、その売上高成長率の推移を見てみましょう。
成長率の点ではMicrosoft Azureが高い水準で推移していますね。最新の四半期決算では+76%の成長率でした。
クラウド市場のシェアNo.1であるAmazonのAWSは2018年Q4で+46%の成長率でした。圧倒的なシェアを持ちながらまだ46%も成長することができる点に驚きです。
GoogleのGCPについては30%程度の水準でしょうか。内訳が不明なため、本当はもっと高い成長率かもしれませんが、現状の市場シェアから見てもあまり大きな成長はできていないのかなと思います。
設備投資費の比較
2018年度の設備投資費
GAFAM各社とも自社のデータセンターを持っており、自社ビジネスを支える基盤への投資を増やしている状況です。そこで2018年度における設備投資費を比較してみました。
最も設備投資をしている企業はGoogleで、251億ドルの設備投資でした。メインの検索サービスやAI事業に向けた設備投資を積極的に進めているのでしょうかね。
その他の4社はほぼ同じような規模でした。これらの倍近くの設備投資を進めているGoogleが際立っていますね。
増加率の観点ではFacebookが107%と倍増してトップになっていました。個人データ管理の問題などありましたから投資を増やしてデータセンターを強化しているんでしょうかね。
Googleも+91%とほぼ倍増でしたね。先程の投資額を見ても納得の水準です。この設備投資の増加が今後のビジネスにどう影響するか、興味深く見ておきたいと思います。
Microsoftも+43%と大きく投資額が伸びています。Microsoft Azureが好調ですから、そのためのデータセンターを増強しているのかなと想像できますね。
AmazonとAppleは案外と設備投資額は伸びていませんでした。Amazonはデータセンターの他に配送センターなども投資対象と思いますが、闇雲に投資額が増えているわけではないようですね。Appleも今のところは大幅な設備投資には踏み切っていませんでした。
人的資産である従業員数の比較
最後に人的資産である従業員数の比較(2018年度)です。Amazonについては配送センターなどのパートタイムジョブの人数も含んでいます。それ以外はフルタイムの従業員数です。
そういうわけでAmazonの従業員数が最も大きいですね 。現在のところ、パートタイムも含めて世界中で64万7,500人の従業員が働いているそうです。
2番目、3番目のAppleとMicrosoftは従業員数の点では非常に似通ってますね。Appleが13万2,000人、Microsoftが13万1,000人とほぼ同数の従業員を抱えていることがわかります。
Googleはちょっと下がって9万8,771人、Facebookはさらに下がって3万5,587人でした。Googleは他よりも少数精鋭な部隊という感じでしょうか。Facebookも(十分多いですが)他よりは少なめな従業員数ですね。
2017年度と2018年度での従業員数の増加率です。
この観点ではFacebookが+42%と大きく従業員を増やしていました。積極的に人を集めていますね。まだまだ成長期という印象です。
2番手はGoogleの+23%でした。Googleは最近は日本でも採用を強化していると聞いていますし、ワールドワイドでも優秀な人材を採用強化しているのでしょう。どの分野の人を増やしているのか興味ありますね。
あとはAmazonが+14%、AppleとMicrosoftがそれぞれ+7%と+6%でした。Amazonは1割ちょっと従業員が増えていますが、パートタイムジョブも含むためどの事業強化のためかわかりにくいですね。
AppleとMicrosoftはこの観点でも似通った数字でしたね。Appleはつい先日も自動運転プロジェクトの従業員200名ほどを解雇したそうで、iPhone以外の注力事業が見つかるまでは大きくは従業員数は増やさないのかなと思います。
ハイテク銘柄のトップ5と言っても過言ではないGAFAMについて色々と比較してみました。
印象としては、AppleとMicrosoftはかなり成熟期に入っている一方で、Facebookはまだまだ成長余地があるのかなという感じでしたね。
AmazonとGoogleも成長性は高いと思いますが、Amazonの広告事業やGoogleのクラウド事業が会社を支えるほどに成長するためにはもうちょっと時間がかかりそうです。
今から10年後にはGAFAMなんて言葉は無くなっているかもしれませんけど、まだしばらくは彼らの新しいビジネスには期待したいと思います。
GAFAMの最新四半期決算