Amazonが2018年第4四半期決算を発表しました。ホリデーシーズンは堅調でしたが売上高成長率に課題が残る内容でした。
Amazonの2018年第4四半期決算
- EPS:6.04ドル(予想:5.51ドル)
- 売上高:724億ドル(予想:719.5億ドル)
- ガイダンス:2019年Q1 売上高 560〜600億ドル(予想:610.4億ドル)
- ガイダンス:2019年 Q1 営業利益 23〜33億ドル(予想:30億ドル)
Amazonの2018年第4四半期決算はEPSと売上高がコンセンサス予想を上回るものの、ガイダンスが弱く予想を下回る内容でした。
クラウドサービスのAWSは+46%の成長率で売上高は74.3億ドルでした。また営業利益は21.8億ドルでした。
ガイダンスが弱い理由として、ロイターの記事によれば「インドで規制上の問題に直面しているほか、欧州でインターネット通販売上高が減速していることが背景」とのことです。
今回の決算で、売上高成長率は20%でした。1年前の2017年第4四半期決算では+38%だったことから、成長率の鈍化が懸念され始めています。
すばらしい数字だが、 CNBCが指摘しているように、四半期の売上成長19.7%は2015年以来最低だった。
売上高の成長率
四半期ごとの総売上高成長率の推移です。
いくつか山がありますが、最近では2018年Q1をピークに成長率は減少傾向にありました。2017年の好調さとは対照的です。
上の記事でも指摘されているように、この成長率の鈍化は確かに気になりますね。
セグメント別売上高
北米、海外、AWSの売上高推移です。
全体の傾向としてはQ4のホリデーシーズンで売上高が最も伸びますね。やはり1年で最も稼ぎ時ですね。総売上高も着実に成長しているようです。
ボリュームの点では北米がかなり大きくなってきましたね。北米の売上高は全体の約6割を占めています。
AWSの成長は著しいですが、全体で見るとまだ割合は小さいですね。
セグメント別営業利益
こちらは営業利益の推移をセグメント別に示したものです。
営業利益の観点では、AWSは北米部門とほぼ同等の営業利益を稼いでいることが分かりますね。アナリストがAWSを重視する理由も分かります。
海外部門はほぼ毎期マイナスの営業利益です。まだ稼げる部門にはなっていないようです。
今やAmazonの営業利益の半分を稼ぐAWSの成長性が今後も重要になりそうですね。
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事業別売上高
事業別に見た売上高の推移です。
一番大きいのはやはりオンラインストアの売上高ですね。2018年Q4は398億ドルの売上高でした。
ホールフーズや恐らくAmazon Go等のストアを含む物理店舗(Physical stores)の売上高は44億ドルでした。ただこちらは前年同期比で-3%の減収と報告されています。物理店舗のビジネスは順調とは言い難い状況みたいですね。
Amazon Primeメンバーシップを含むサブスクリプションは39.6億ドルでした。成長率は+26%でしたが、こちらは前年同期(17Q4)の+47%と比べて大きく下がりました。前期まで50%以上の成長率を出していましたのでちょっと心配です。
事業別で見たときのAWSはまだそれほど大きくはないですね。ちょうど物理店舗とサブスクリプションの合計くらいです。
最も成長率の高い事業はその他部門で、成長率は+97%でした。この部門は広告事業を含んでおり、Amazonとしても力を入れたい事業ではないかと思います。
AWS成長率は安定期?
稼ぎ頭のAWSの売上高成長率の推移を見てみましょう。
2015年Q2の+81%をピークに、成長率自体は減少傾向にありました。その後2017年Q1に+43%に着地し、今はこの40%台の成長率で安定しているように見えますね。
今回の決算でも+46%の成長率でしたので、ここ最近は横ばいの成長率と言えそうです。
AWS vs Azure
先日に決算発表したマイクロソフトのクラウドサービスAzureと成長率を比較してみましょう。
成長率自体はAzureの方が高いですね。AWSが成熟期に入ったのとは対象に、後発のAzureはまだ伸びしろが大きいのではと思います。
ただAzureも成長率は減少傾向にあり、今は70%後半で推移しています。AWSの成長率のところまで落ち着いてくるのか、今後の動向にも注目ですね。
今回のAmazonの決算ではホリデーシーズンの堅調さを確認できましたが、売上高の伸び悩みが気になりました。
頼みのAWSは成長率の点では安定しており、爆発的な成長は無いかもしれませんが一定の営業利益を今後も稼いでくれそうです。
あとはオンラインストア以外の事業でどこまで稼げるかですかね。物理店舗のビジネスがまだ軌道に乗っていないようですが、Amazon Goの店舗数拡大の話もありますので今後に期待です。あとはサブスクリプションと広告事業の伸び次第でしょうか。
2019年は経済や事業環境的にも厳しい年になりそうですから、Amazonの成長性への懸念を今後払拭できるかに注目しておきましょう。