マイクロソフトが2019年第2四半期決算を発表しました。注目のクラウド事業Azureはどうでしたでしょうか。
マイクロソフト(MSFT)の2019年第2四半期決算
- EPS:1.10ドル(予想:1.09ドル)
- 売上高:324.7億ドル(予想:325億ドル)
- ガイダンス:Q3 売上高 294〜301億ドル(予想:298.8億ドル)
マイクロソフトの2019年第2四半期決算はEPSが予想を上回るものの、売上高がわずかに予想に届きませんでした。
Q3のガイダンスは売上高見込みの中間値が297.5億ドルですので、こちらも少し予想を下回ってますね。
セグメント別の売上高は次のとおりでした。
- Productivity and Business Processes:101億ドル(+13%)
- Intelligent Cloud:94億ドル(+20%)
- More Personal Computing:130億ドル(+7%)
Productivity and Business ProcessesではOffice 365 Commercialが+34%と大きく伸びました。さらにLinkedInが+29%、CRMのDynamics 365が+51%と、売上高を牽引しました。
Intelligent CloudではAzureが+76%の成長率でした。相変わらず高い成長率ですが、過去の成長率と比べると少し下がってきていますね。
More Personal ComputingではSurfaceの+39%、Xbox software and servicesの+31%が目立ちました。一方、PC出荷時にインストールされるWindows OEMの売上高が-5%と減収になりました。チップ供給のタイミングの影響でPC市場が予想より縮小したことが影響したようです。決算がコンセンサス予想に届かなかった主因もこの点にあるとのことです。
セグメント別売上高
セグメント別売上高の推移です。
多少の上下はあれど、基本的にはどの部門も売上高を拡大してきていますね。
総売上高もじわじわと上昇しているように見えます。
主要製品別の売上高成長率
主要製品の売上高成長率の推移です。
赤で示したAzureの売上高成長率がやはり際立っていますね。ただ先程も触れたように少しずつ成長率自体は下がってきています。ちなみに前年同期の18Q2は+98%の成長率でした。まあ今までの成長率が高すぎたというのもありそうですが。今後、どのあたりに成長率が落ち着くかが見ものですね。
次に高い成長率をキープしているのがCRMサービスのDynamics 365です。2016年11月にリリースされた比較的新しいサービスですが、+50%以上の成長率を毎期だしています。ただこちらも緩やかに減少してきてはいます。
そのひとつ下で安定した成長率を見せているのがOffice 365 Commercialですね。30〜50%台でここまで推移しています。Office 365は今までのOffice製品の置き換え需要が続きそうですから、この成長率を長く維持しそうですね。
成長率の高い製品に絞ったグラフが上になります。
この中ではLinkedInとXBOX software and servicesが30%台の成長率ですね。これらは多様な事業の柱としても期待したいところです。
割とギザギザしながら動いているのがSurfaceです。おそらく新製品リリースのサイクルで売れる時期が変わってくるのでしょう。19Q2では3番めに高い成長率でした。最近Surfaceユーザをよく目にすると感じていましたが気のせいでは無さそうですね。
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今回は好業績ではなかったが、それでもマイクロソフトに大きな不安は見当たらない?
今回の決算に対する市場の反応は、Azureの成長率が物足りないといったところでしょうか。
また売上高が予想を下回り、Q3ガイダンスも弱かったことから、好業績だったとはい言い難いですかね。
ただ不振の主因がWindows OSのライセンス収入低迷だったことは不幸中の幸いかなと思います。いまやOSライセンスで稼ぐビジネスモデルの時代ではないですからね。
Azureも他クラウドサービスもまだまだ強いですし、SurfaceやXbox関連といった別ドメインの事業も成長率は高いです。
Azureの最大のライバルはAmazonのAWSですが、Amazon自体も小売業界などでライバルが多く、Amazonのクラウドサービスを使いたくない企業が積極的にAzureを選んでいるという追い風があります。例えばウォルマートやウォルグリーン・ブーツ、クローガーといった小売大手との長期契約を締結済みです。
XboxについてはスマホでXboxゲームが遊べるようになるそうで、この事業はさらに成長が期待できそうです。
また昨年に75億ドルで買収したGitHubという新たな武器があります。GitHub単体も稼ぐことができるサービスですが、やはりGitHubの圧倒的なコミュニティ規模が欲しかったのでしょう。
今やWebサービスやアプリケーション製品などの開発にGitHubは無くてはならない存在ですから、Azureとうまく連携させていけばGitHubユーザとその企業をAzureの顧客として取り込んでいけるでしょうね。
また日本マイクロソフトの独自の取り組みとして、クラウドで可動するPOSなどのソースコードをGitHubで無償公開すると発表しました。このPOSは当然Azureでの動作を前提としています。GitHubを上手く活用してAzureへの導線を引くアプローチですね。
今のところマイクロソフトの事業には大きな不安要素は見当たらないのではと改めて思いました。Azureの成長率は下がったとはいえまだ高い水準ですし、ゲーム事業やGitHubなどの新たな事業分野にも期待は大きいです。ちょっと投資を考えてみたいですね。次の四半期決算に期待しておきます。