先日にIBMが第2四半期の決算を発表しました。内容は市場の期待を裏切るもので、株価もそれに反応して急落しました。
IBM 第2四半期決算 ハイライト
IBMの幹部が4月、技術サービス・クラウドプラットフォーム部門で4-6月期に大規模契約を見込んでいると述べていたが、結局、同部門は前年同期比5.1%の減収となった。
さらに業績発表の数日前には投資会社JefferiesのアナリストJames Kisnerが、ワトソンの業績が振るっておらず長期的にIBMの利益を押し上げることにならないとの分析を示したことで、IBMの動向を注視している人々の間に衝撃が走った。
IBMのレガシー事業は先細りしていることから、投資家は戦略分野が利益を生み始めることに期待してきた。
多くのメディアでIBMの決算ニュースが報道されていますが、注目されているのはワトソンを含むクラウド事業の状況のようです。メインフレームのような既存事業の先行きが明るくないことから新しいサービス事業への転換が順調なのかが論点でした。結果としては、市場が思うほどには順風満帆とは行っていないようです。
IBMの行く末は本当にクラウドで正解なのか
今や世の中のウェブサービスはあたかもコンピュータのOSのようにアマゾンのAWSやマイクロソフトのAzureを利用して作られています。Windows、Mac、Linuxがあり、それぞれに魅力を感じる人達がそのOSの上でアプリを開発するのに似ているかと思います。Windows向けにアプリを作ることの魅力の一つは、それを多くのWindowsユーザに使ってもらえるかもしれない点です。やはり参加者の多いプラットフォームはそれだけで魅力的に見えてきます。IBMも一応はクラウド事業をしていますが、その点ではAWSやAzureと比べるとどうしてもプラットフォームの魅力に欠けている気がします。
米IBMの苦境が続いている。18日に発表した2017年4~6月期決算で売上高が前年同期比4.6%減と、21四半期連続減収となった。米アマゾン・ドッド・コムに次世代IT(情報技術)ビジネスの本命であるクラウドで完全に主導権を奪われた。1990年代に3期連続赤字に陥って以来、約25年ぶりの試練を克服できるのか。
OSとしてのクラウド・プラットフォームはほぼ大勢が決していますが、次の戦いは例えば人工知能プラットフォームでしょう。みんなが欲しがるもの、使いたがるものは、あっという間に普及し一般化することで、コモディティ化は免れません。その点で人工知能関連の銘柄については勝負の行く末が見えてくるまでは投資対象に考えない方針です。
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ビジネスの基盤となるクラウドは大勢を決し、次の戦場である人工知能も行く行くはコモディティ化は免れないなかで、IBMは稼ぎ頭をどの分野・技術としていくのか、非常に興味深いです。
ただ個人的には下記文献にあるIBMの企業体質の観点から、再び巨象が踊る日はもう来ないのでは、来るとしても相当に先の話では、と考えています。
- 作者: ルイス・V・ガースナー,山岡洋一,高遠裕子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
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