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参考文献:IBMは復活するのか?『倒れゆく巨象ーーIBMはなぜ凋落したのか』 part.1

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20四半期連続の減収。ウォーレン・バフェット氏による株式売却。

最近はあまり明るくない話題で名前を見るIBMですが、かつての輝かしい業績やブランドをもつ企業がなぜこうした状況に追い込まれることになったのか。

それを知るためのヒントとして、IBMの内情を綴ったノンフィクション「倒れゆく巨象ーーIBMはなぜ凋落したのか」をご紹介します。

書籍紹介

倒れゆく巨象――IBMはなぜ凋落したのか

倒れゆく巨象――IBMはなぜ凋落したのか

 

著者のロバート・クリンジリー氏は「ジャーナリスト、ITライター。1953年オハイオ州生まれ。「フォーブス」「ニューズウィーク」などに寄稿。とくにIT分野で活躍し、シリコンバレーのテクノロジー企業やIT企業の創業者から従業員まで、幅広い人々から支持を得ている」とのことです。

本書の原題は「The Decline and Fall of IBM」です。日本語タイトルは明らかにルイス・ガースナーの「巨象も踊る」を意識していますね。本書の中でも少し「巨象も踊る」については触れていました。

巨象も踊る

巨象も踊る

  • 作者: ルイス・V・ガースナー,山岡洋一,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2002/12/02
  • メディア: 単行本
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本書の目次は以下のとおりです。

はじめに

日本版に寄せて

序章:落日のビッグブルー―なぜIBMは今日の絶望的な状況を迎えたのか
第一章:巨象の体質―アメリカを象徴するブランドを支えた保守性とマイペース
第二章:外様経営者の過ち―ガースナーはIBMを建て直したと同時に衰亡の種も蒔いた
第三章:まやかしのロードマップ―企業目標は二〇一五年にEPS二〇ドルを達成すること
第四章:巨大企業は変われない―かつての成功を追いかけ「プロセス」に固執する企業体質
第五章:読み誤ったトヨタ生産方式―リーダーたちの頭には「販売」と「コスト削減」しかなかった
第六章:二〇一五年に向けた「死の行進」―すべてはコスト削減のため‐自滅行為は繰り返される
第七章:売却された二つの事業―なぜIBMはPC事業とサーバー事業をレノボに売却したのか
第八章:秘策は自社株買い―発行済み株式数の削減に支えられていたEPS増加のカラクリ
第九章:メンフィスの教訓―ヒルトンとサービスマスター、二大顧客を失った理由
第十章:ビッグブルーが生き残る道―既存事業と「大きな儲け話」の問題点と解決策
終章:破綻へと導かれる未来―現実を見失った経営陣は世界規模の再編成計画を実行した

非常に刺激的な章タイトルが並びます。いま半分ほどまで読み進めましたので、各章の内容を簡単にご紹介します。

 

はじめに

著者が八歳のとき、声で操作できるインタフェースのアイデア(今のAmazon EchoやGoogle Homeのようなものでしょうか)を思いつきます。ただアイデア実現のためのコンピュータが手元になかったため、IBMの当時のCEO、T・J・ワトソンにパートナーシップを持ちかける手紙を書いたところ、IBMのエンジニア6名と話し合いの場を持つことに。八歳の少年を相手に、とある日の午前中を潰して真剣に話を聞いてくれたエンジニアたち。

この経験が原点となり、かつてのIBMの姿を取り戻してもらうために、著者は本書を執筆したといいます。

 

序章:落日のビッグブルー―なぜIBMは今日の絶望的な状況を迎えたのか

IBM再建のため、今世紀はIBMのCEOに3名が就任しました。ルイス・ガースナー、サミュエル・パルミサーノ、バージニア・ロメッティ。この3名のCEOが凋落を招いた張本人であると予告します。

 

第一章:巨象の体質―アメリカを象徴するブランドを支えた保守性とマイペース

「古き良き」企業体質をもつIBM。社内権力を求める社員たち。絶頂期には十七層もあった管理者層。パーソナルコンピュータ事業をめぐるマイクロソフトとの競争への敗北。徐々に時代に取り残されるIBMの姿が描かれます。

 

第二章:外様経営者の過ち―ガースナーはIBMを建て直したと同時に衰亡の種も蒔いた

IBMの窮地を救うため招聘されたルイス・ガースナー。IBMを顧客重視の企業に変換し、ITサービス事業へフォーカスするなど、その功績は輝かしい。しかし、IBMにとって最大の顧客はIBM自身であったり、安い労働力を求めて業務を外国にアウトソーシングした結果サービスの品質や生産性は改善されなかったりと、理想とはかけ離れた実態が浮かび上がります。

そして著者は、ガースナー最大の失敗は後継者にパルミサーノを選んだことだろうと指摘します。

 

第三章:まやかしのロードマップ―企業目標は二〇一五年にEPS二〇ドルを達成すること

「株主利益の最大化」により役員報酬も引き上げられることに気づいたパルミサーノは、2010年に「2015年にIBMはEPS 20ドルを達成する」と宣言します。果たしてそれは信用詐欺だったのか。

IBMは営業部門の販売員が会社を牛耳る販売組織であり、CEOや軽絵幹部はそこの生え抜き社員であるため、外で働いた経験が皆無。企業に課題があれば、自分以外の誰かを責める文化であると著者は説明します。

 

第四章:巨大企業は変われない―かつての成功を追いかけ「プロセス」に固執する企業体質

優れたリーダーは「WHY?(なぜそれをやるのか?)」と問うことから始めますが、大企業は「WHAT?(何をするのか?)」から問い始め、「WHY?」を問うことは稀。IBMの社員に「WHY?」を投げかけても答えは得られないだろうと著者は言います。自分たちがなぜそのビジネスをするのか理解していない、つまり自分たちが売る製品やサービスをほとんど理解していない人間によって動かされている、それが今のIBMであると。

組織は繰り返し「WHY?」を問うプロセスによって新しいアイデアを生み出しますが、IBMはかつての成功体験とそのプロセスに固執することで、「WHY?」を問うことを放棄していると指摘します。

 

このWHYから始めるプロセスは、下記のTEDの説明を元にしています。非常に示唆に富んた面白いプレゼンです。 

www.ted.com

 

 

ここまででIBMの過去から現代へ移りゆく中での内情について見てきました。

IBMという巨大な国のような組織では、長年で醸成された文化や考え方への固執が凋落への一因と指摘されており、このあたりは日本の企業でも同じことが言えそうです。

本書の後半ではレノボへのサーバー事業売却など記憶に新しいイベントの話が含まれているようですので、読了しましたらそちらもまとめていきたいと思います。