Amazonが2018年第1四半期決算を発表しました。全てのセグメントが成長という圧倒的な成長力で、特にAWSの貢献が印象的でした。
Amazon(AMZN)の2018年第1四半期決算
https://seekingalpha.com/news/3349451-amazon-beats-2_02-beats-revenue
- EPS:3.27ドル(予想を2.02ドル上回る)
- 売上高:510.4億ドル(予想を11億ドル上回る)
- ガイダンス:2018年Q2 売上高 510〜540億ドル(予想:522.4億ドル)、営業利益 11〜19億ドル(予想:11.4億ドル)
Amazonの2018年Q1決算はEPS・売上高・ガイダンスの全てでコンセンサス予想を上回る好決算でした。
予想を上回る増収・増益で、四半期決算としてはおよそ5年ぶりの大幅な成長だったみたいですね。
チャートで見るAmazonの四半期
売上高、利益の比較(単位:百万ドル)
- 売上高:510億ドル(+43%)
- 営業利益:19億ドル(+92%)、営業利益率 3.8%
- 純利益:16億ドル(+125%)
Amazonの第1四半期は、売上高が+43%の増収でした。
営業利益と純利益はどちらも倍増で大幅な増益を達成しました。
営業利益率は+1%の改善で3.8%でした。
セグメント別売上高、営業利益(単位:百万ドル)
北米事業、海外事業、クラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)の2018年Q1売上高と営業利益です。
売上高の観点では、北米事業が307億ドルで全体の60%を占めています。
次いで海外事業が148億ドルで全体の29%を占め、残りをAWSの54億ドルが11%を占めます。
売上高ではおおよそ北米:海外:AWS=6:3:1の割合ですね。
一方で営業利益を見ると割合がガラッと変わりますね。
北米事業の営業利益は11億ドルで営業利益率は3.7%です。
最も営業利益が大きいのがAWSの14億ドルで、営業利益率は25.7%です。北米事業を圧倒的に凌駕する利益率の高さですね。今のAmazonの営業利益はAWSの高い営業利益率に支えられているようです。
海外事業はマイナスの営業利益ですが、この部門は毎期マイナスの計上ですので戦略的な投資の結果でしょうね。
ビジネス別の売上高
ビジネス別の売上高の内訳です。
やはり一番大きいのはオンラインストアですね。売上全体の53%程を占めています。
次に大きいのがサードパーティ・セラー向けのサービスです。Amazonマーケットプレイスに出品している業者からの手数料や注文・配送等のサービス提供費ですね。これもEC事業の一部と言ってよいと思います。
3番目に先程も触れたAWSがおよそ11%程を占めています。次いで買収したホールフーズによる物理店舗の売上ですね。
その次のサブスクリプションは殆どがAmazonプライムの会員費によるものでしょうね。31億ドルで全体の6%を占めています。
Amazonプライムに関しては米国で年会費を20ドル値上げするとの発表がありました。一度プライム会員になると、知らないうちに次々と便利なサービスが利用可能となりますし、ちょっとの値上げでは解約する人はほとんどいないのではと思いますね。
そう考えると今回の会費値上げでサブスクリプションの売上がまた大きく増加するのではと思います。
ビジネス別の成長率
先程のビジネス別に成長率を見てみましょう。
数字的に最も大きいのは「その他」で倍以上の伸びです。「その他」には広告サービス等の事業が含まれます。
「その他」を除いてみたときに、大きな成長を見せているのがAmazonプライムのサブスクリプション事業とAWSですね。それぞれ+56%、+49%の成長でした。
Amazonプライムは先述の会費値上げでさらに売上高を伸ばせるかに注目ですね。
AWSはクラウド市場で圧倒的なシェアをキープし続けていますが、好決算を発表したMicrosoftのクラウドサービスAzureの追い上げも気になるところです。
またAWSをスピンオフさせて別会社にする噂も定期的に囁かれてますね。噂の領域を出ない話ですけどね。
成長の止まらないAmazonに対して敢えて懸念事項を挙げるとすればこの2点
アマゾン株は年初来で既に30%上昇しているが、こうした決算の数字は投資家を安堵(あんど)させるだろう。一方、アマゾンの成長コストが決して安くはないことも覚えておくべきだ。リース資産を含めた設備投資費は前年同期比33%増の約54億ドルに達した。
最近アマゾンが直面しているもう1つのリスクが、政治家が同社の成功を一段と注視し始めたことだ。アマゾンは有料サービス「プライム」の年会費を119ドルに引き上げる計画のため、監視の目は一段と厳しくなりかねない。最終的にこの値上げは高くつくかもしれない。
今のところビジネスの成長性に死角が見当たらないAmazonですが、敢えて懸念事項を挙げるならば上記記事の2点でしょうか。
EC事業やAWSの急激な成長を支えるための設備投資費が拡大しているようで、おそらくクラウド事業のためのデータセンターのリースや建造、IT機器の追加購入など、今後も設備投資費は膨らみ続けるでしょう。こういったコストの伸び率が事業の成長率より大きくならないか注意しておいたほうがよいでしょうね。
またAmazonとトランプ大統領の犬猿の仲もありますし、Facebookの利用者データ不正利用の問題もあり、Amazonに対する監視の目が強まるかもしれません。そういった政治家の影響がAmazonにどう影響を及ぼすかは未知数ですが、規制強化等の動向には我々も目を光らせておく必要がありますね。
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