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参考文献:IBMは復活するのか?『倒れゆく巨象ーーIBMはなぜ凋落したのか』 part.2

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前回に紹介した書籍「倒れゆく巨象ーーIBMはなぜ凋落したのか」ご紹介の続きです。

前回記事

www.us-stock-investor.com

 

書籍紹介:後半

倒れゆく巨象――IBMはなぜ凋落したのか

倒れゆく巨象――IBMはなぜ凋落したのか

 

 

第五章:読み誤ったトヨタ生産方式―リーダーたちの頭には「販売」と「コスト削減」しかなかった

トヨタ生産方式であるリーン生産方式を土台としたLEANという再編プロジェクトを開始したIBM。しかしその実態は、トヨタのリーンとはかけ離れた社員の大量解雇を目的としたプロジェクトであり、国内社員を中国やインドの外国人雇用へ置き換えることで、社内の年金制度を凍結させ、株価を上昇させることが目的だったと著者は指摘します。

 

第六章:二〇一五年に向けた「死の行進」―すべてはコスト削減のため‐自滅行為は繰り返される

コスト削減のため、人件費の安い国々への業務アウトソーシングを進めた結果、顧客サービスの品質低下を招き、アムジェン、テキサス州、ウォルト・ディズニーなどの大口顧客は他社へと乗り換えていきます。株価上昇と役員報酬のため、国内社員の最大限の縮小化と利益の最大化を目指し続けるような姿勢に、著者は顧客満足度の更なる低下を懸念します。

 

第七章:売却された二つの事業―なぜIBMはPC事業とサーバー事業をレノボに売却したのか

IBMが他でもない中国企業レノボにPC事業を売却した理由は、将来に世界最大となる中国のIT市場に参入する足がかりを得るためだった。その後、同様にサーバー事業もレノボへ売却することになりますが、この売却は目先の利益に目がくらんで将来の利益を生むはずだった試算を手放すことになったと著者は指摘します。

 

第八章:秘策は自社株買い―発行済み株式数の削減に支えられていたEPS増加のカラクリ

2015年のEPS20ドル達成を目指して1,010億ドルもの借金をしてまで自社株買いを続けるIBM。それによりEPSは確かに増加し、多額の分配金も株主へ還元された。しかしそれは同時に成長への戦略投資がほとんどなされなかったことを意味していました。一見、株価が右肩上がりで上がり続けるIBMは、安全な投資先として投資家の人気を集めることになります。

 

第九章:メンフィスの教訓―ヒルトンとサービスマスター、二大顧客を失った理由

IBMの大口顧客だったヒルトン・ホテルズとサービスマスター(米国最大の清掃サービス会社)は、IBMのデータセンター業務(サーバーやデータベースの監視など)を利用していましたが、度重なるシステム障害の発生や、非効率な監視の実態に直面し、どちらも他のベンダーに乗り換えます。それら事例を教訓に、著者は「サービスプロバイダーを見極めるための10項目」を提案します。

 

第十章:ビッグブルーが生き残る道―既存事業と「大きな儲け話」の問題点と解決策

著者によるIBM事業の問題点とソリューションの提案。ハードウェア事業、ソフトウェア事業、サービス事業、クラウド事業など、各事業の具体的なポイントを指摘していきます。

 

終章:破綻へと導かれる未来―現実を見失った経営陣は世界規模の再編成計画を実行した

2014年以降のIBMの動向について考察していきます。事業をモバイル、クラウド、アナリティクスに舵取りするIBM。モバイルについては2014年にアップルとの提携を発表しています。一方で、2014年の秋には、2015年までのEPS20ドル達成を断念することを表明しました。

blogs.itmedia.co.jp

さらに、2015年にはプロジェクト・クロームと呼ばれる世界規模の人員再編計画を発表します。

gigazine.net

 

著者の結論

終章の末尾に書かれた言葉をそのまま引用します。

 しかし、これらの新事業が、切り捨てられようとしている旧来の事業と違って早く成長するはずもない。さらに、会社のためにこれまで身を粉にして働いてきた大勢の社員のクビを切り、自分の会社の市場価値が三〇〇億ドル以上下がっても手をこまねいているだけだったジニー・ロメッティCEOは、年一六〇万ドルの昇給と三六〇万ドルのボーナスを手にして平然としている。これが、現時点のIBMの姿である。

 ゆえに、 IBMは破綻するという私の見解は、今も変わっていない。

 

その後のIBM

最近のニュースとしては、バフェット氏のIBM株売却の他に下記のニュースがありました。

wired.jp

IBMは、全従業員の40パーセントを占める遠隔勤務のスタッフに、オフィス勤務に戻るか退社するかを求めている。これまで在宅勤務を推奨し、そのためのソリューションも販売してきたIBMがこのような決断を下した背景には、同社の厳しい財務状況があった。

 

www.businessinsider.jp

 

ここまで本書を読み進めていると、なにか既視感を感じるニュースです。2015年のEPS目標達成を断念したとはいえ、まだ組織としての本質は変わっていないのではないか、そう感じさせるニュースに思いました。

 

ハイテク株への投資は、その業界の移り変わりが激しいこともあり、もし投資するならなるべく長期的に安定した業績を残せる企業が良いだろうと考えていました。その一つとしてIBMも当然、投資候補として考えています。しかし昨今の業績の低迷、バフェット氏のような大物投資家による株式売却もあり、何か判断の材料が欲しいと思って手に取ったのが本書です。

 

もちろん、一人のジャーナリストによる告発という形式をそのまま鵜呑みにすることはできません。外から見れば少しずつIBMは顧客主義へ変わっているようにも感じます。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」という格言の通り、今後のIBMが過去の失策を歴史として捉え、そこから学び、復活への足がかりとしていけるか、見ていきたいと思います。