世界中で快適なコワーキングスペースを提供しているWeWorkが2018年第2四半期の売上高等を発表しました。あわせてソフトバンクからの追加投資も発表しており、非常に勢いを感じます。
WeWorkの2018年第2四半期は売上高が倍増以上に
記事によるとWeWorkの2018年第2四半期は売上高が4億2160万ドルとなり、前年同期の1億9830万ドルから倍増以上に伸びたとのことです。
第1四半期、第2四半期の売上高(百万ドル)と成長率は下記の通りです。第1四半期も倍増以上に成長していました。その成長率が伸びている点も凄いですね。
また会員数も268,000会員となり、こちらも前年同期の128,000会員から大きく成長しました。
第1四半期の時点で会員数は220,000会員だったようですので四半期で48,000会員増えましたね。
WeWorkによると268,000会員のうちおよそ4分の1が法人会員です。スターバックスやJPモルガン・チェース、ゼネラル・モーターズ、IBM等、大企業の顧客も多いです。
今や評価額が200億ドルと言われるユニコーン企業のWeWorkですが、非常に順調に成長を続けていますね。
ソフトバンクが10億ドルをWeWorkに追加出資
ソフトバンクグループは、シェアオフィスの運営会社である米ウィーワークに転換社債を通じて10億ドル(約1112億円)追加投資する。ウィーワークが今年1-6月(上期)の業績に関する9日の説明の中で明らかにした。
現在、最もWeWorkに期待を抱いているのがソフトバンク・グループですね。今回、新たに10億ドルの追加投資をWeWorkに実施することが分かりました。
ちょうど1年前の2017年8月、WeWorkはソフトバンクから44億ドルもの巨額投資を受けることを発表して驚かせました。その一月前にはWeWorkのアジア進出のための5億ドル資金調達にもソフトバンクは名を連ねていました。
現在までにソフトバンクは60億ドル近くもの投資をWeWorkに実施してきました。ソフトバンク、と言うよりは孫さんがいかにWeWorkを評価しているかが伺いしれますね。急成長している市場で、その市場のリーダーに巨額投資をする戦略ですね。
先日発表のソフトバンクグループの決算でもWeWork含むビジョン・ファンドが利益の押し上げに貢献していました。
その会見の中で孫さんは気になる発言をしています。
孫社長は会見で「ソフトバンク本社を近い将来、WeWork(のオフィスに)に全部移転しようかと議論している」ことを明らかにした。
WeWorkは現在、国内に6250席を確保しており、すでにソフトバンク社員約1700人が利用している。
孫さんのWeWork愛が伝わってくるようです。実際WeWorkもビル1棟を企業向けに専用に貸し出すこともしていますので、将来は本当にWeWorkの貸しビルに本社を移転するかもしれませんね。
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ソフトバンクのWeWorkへの出資は12分で決まった?孫さんが評価したWeWorkの強さとは
先程も触れたソフトバンクによる44億ドル出資の裏側をWeWorkのCEOが語っています。
それによると、孫さんがWeWorkのオフィスを訪れる日は2時間の見学コースを用意していたそうですが、実際には孫さんの到着が遅れたこともあり12分しか時間を貰えなかったとのことで、WeWork側としては相当に焦る展開だったみたいですね。
実際にはその後に孫さんの車に同乗して話ができたそうですが、車の中でiPadを使ってササッと契約の話がまとまったという逸話を見ると、やはりその12分で孫さんも投資を決断したのではと思いますね。
もしWeWorkがただの貸し会議室サービスだったらこの話はまとまらなかったでしょうし、200億ドルもの評価額はとてもつけられなかったでしょう。その裏にあるのは意外にもテクノロジーなんですね。
建設フローの効率化のためにWeWorkが駆使するのが「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」と呼ばれる技術だ。現場となるビルの内部をスキャンし、3Dモデル上で各フロアの設計ができる。
そして、フロアレイアウトの最適化を叶えるのが、既存のWeWorkオフィスから得られる膨大なメタデータ。ヒートマッピング技術を用いて追跡された人の動きと利用状況はWeWorkデータセンターに蓄積され、それらを基に共有エリア、デスク、会議室の面積や配置の最適なバランスが見出され、かつ更新されていく。
孫さんへの12分の社内見学でもこのWeWorkの技術を紹介したそうで、世界中のオフィスデータ、そこで働く人のデータなど、WeWorkに膨大に集まるデータの価値を孫さん は評価したのではと思います。
WeWork CEOのニューマン氏は下記のように語ります。
ニューマンは、テクノロジーによる最適化そのものが「WeOS」のような製品になると考えている。そうなれば、コワーキングに関心のない企業にとっても、WeWorkはなくてはならない存在となる。
「WeOS」をリースし、WeWorkのマネジャーを派遣してコミュニティを育み、オフィススペースのスムーズな運営を提供する。企業側にとっては、地味なオフィスにWeWorkの革新的な風を注入できる。WeWork側にとってもこのプロダクトは、所有資産の少ない同社の事業モデルを、さらに一歩身軽なものにしてくれる。
WeWorkのナレッジ(WeOS)と人材をどの企業でも取り入れることができれば、自社のオフィスがまさにWeWorkのコワーキングスペースのように変えることが可能になる、そんな将来像を描いていますね。
WeWorkはデータにもとづいてどういうレイアウトやサービスを用意すれば人の働き方が効率化するかを日々研究しているわけですから、形だけオシャレなオフィスに模様替えするのとは訳が違うでしょう。本当の働き方改革がそこにはあるのかもしれません。
WeWorkが赤字を膨らませながらも世界中にコワーキングスペースをオープンしているのもその戦略の一環かもしれませんね。コワーキングスペースが増えれば増えるほど、WeWorkのデータ収集の量は莫大になってきます。ちょうどAmazonが原価に近い価格でAmazon Echoを販売してデータ収集のポイントを世界中にばら撒いているのと似ているなと思いました。
ただの不動産企業ではない、もしかしたらテクノロジー企業と呼んだほうがいいかもしれないWeWork。IPOの噂もチラホラ目にしますが、上場した際にはぜひ投資をしてみたい企業です。
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