米国株投資家としては米国の労働者の状況も気になる情報ですが、最新の調査によると今の日本の労働環境と比べて大差ない状況が見えてきます。
シンクタンクのランド研究所による調査報告
The American workplace is physically and emotionally taxing, with workers frequently facing unstable work schedules, unpleasant and potentially hazardous working conditions, and an often hostile social environment, according to a new study that probes working conditions in the United States.
米国の労働環境を調査する新しい報告によると、米国の職場は身体的・精神的に負担が大きく、労働者は不安定な仕事のスケジュールや不快かつ潜在的に有害な労働条件、非友好的な社会環境に頻繁に直面してる。
米国のシンクタンクであるランド研究所(ランド研究所 - Wikipedia)による米国の労働環境に関する調査報告です。報告内容によれば、米国の多くの労働者にとっては必ずしも恵まれた労働環境とは言えない実態が見えてきます。
記事内で触れている調査結果は下記の通りです。
- 3分の2の労働者は急ピッチな仕事やタイトなデッドラインの下での仕事をしており、4人に1人は仕事を遂行するのに十分な時間がない(ホワイトカラーの間でもこの点の苦情が多い)
- 半数の労働者は仕事を要求通り間に合わせるために自分の自由時間を使って仕事をしている
- 世間は在宅勤務への関心が高いものの、78%の労働者が勤務時間内に職場にいなければならないと回答している
- 4分の3の労働者が、少なくとも四半期程度の時間を厳しい/退屈な肉体労働に当てている
- 半数以上が不快かつ潜在的に有害な労働条件について報告しており、5人に1人が非友好的/脅迫的な社会環境(女性へのセクハラや若者への言葉の暴力など)に直面している
- 3分の1の労働者は私事に配慮して仕事のスケジュールを調整することができず、女性はその傾向が男性よりも高い
- 38%の労働者のみが昇給に良い期待を持っている
- 3分の2の労働者が労働条件について自身の希望と実際とのミスマッチを経験している
より詳細な内容は下記レポートを確認してもらえば手に入ります。多数の統計データが含まれており非常に興味深いレポートでした。
レポート内容を見ると、昨今の日本で話題となるブラック企業と重なる部分があるのではと思えてきます。職種によるところもあるのでしょうが、思っていた以上に日本も米国も労働環境は大差ないのかもしれません。
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より良い労働環境を提供するコワーキング・スペースが流行の兆し
従来は個人事業主やスタートアップの利用がメインだったコワーキング・スペースをより大きな企業にも展開する動きがあります。その急先鋒は2010年創立のWeWorkでしょう。
先日にはソフトバンクの出資により日本でもコワーキング・スペースを開設する動きを見せています。先月には東京にてイベント開催するなど日本進出を本格化しており、近々スペース開設の正式発表があるのではないでしょうか。
WeWorkの特徴は、ただ快適なスペースを提供するだけではなく、緻密に計算された労働スペースである点が挙げられます。あえて廊下を狭くすることで利用者同士のコミュニケーションを促したり、階段の途中にスペースを設けて人々を繋げる空間を設計したりと、そこを利用する人たちの相互作用を意図的に起こさせることで新たな働き方を提案しています。
その理念が受け入れられているかどうかは、既に世界15カ国49都市に155カ所以上のスペースを開設済みで全世界13万人が利用中という数字が物語っていますね。今ではMicrosoftやDell、Sprint、Salesforceなどの大企業も利用しているそうで、日本展開された際にはソフトバンクは当然ながら他の企業も名を連ねるかもしれません。
WeWorkを利用中のMicrosoft等の企業はある意味「働き方改革」に積極的で労働者を気にかけている姿勢の現れかもしれませんね。
いち労働者としてもそういった企業に投資をしていきたいと感じますし、長期的に見ても、いち早く社員の働くスタイルを変革できた企業の方が結果的に高成長を遂げるのではと期待しています。
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