アンケート管理サービスのSurveyMonkeyがIPO後はじめての決算を発表しました。
- SurveyMonkey(SVMK)の2018年Q3決算
- アンケートを取る際の面倒な部分を全部引き受けるSurveyMonkey
- SurveyMonkeyのその他の指標
- アンケートはシンプルだが奥深いソリューション
SurveyMonkey(SVMK)の2018年Q3決算
- EPS:-0.01ドル(予想:-0.05ドル)
- 売上高:6,520万ドル(予想:6,290万ドル)
- ガイダンス:Q4 売上高 6,480〜6,680万ドル(予想:6,481万ドル)
- ガイダンス:2018年度 売上高 2億5,120万〜2億5,320万ドル(予想:2億4,900万ドル)
IPOして間もないSurveyMonkeyの2018年Q3決算は、EPS・売上高・ガイダンスの全てでコンセンサス予想を上回りました。
予想を超える好決算で、SurveyMonkeyの株価はプレマーケットで+8%以上も上がっていました。
アンケートを取る際の面倒な部分を全部引き受けるSurveyMonkey
SurveyMonkeyはオンラインでアンケートを作成・集計できるSaaSです。
たかがアンケートと思われるかもしれませんが、実際にイベントや職場でアンケート業務を担当されたことがあればその面倒臭さがご理解いただけるのではないでしょうか。
- 適切な設問を適切な数だけ作成
- アンケートを関係者や参加者に配布して協力をお願い
- アンケート締切間際のフォローアップ
- アンケート回答の集計
- 集計結果の可視化
- などなど
アンケートをしっかりとやり切るまでには非常に多くの労力がかかるものです。これらを全てアナログでやるのはかなりしんどいですよね。
そこでSurveyMonkeyがこれら全てをクラウドサービスとして提供してくれるわけです。
オンラインでのアンケート作成はもちろん、そのアンケートをメールやSlack等の様々なチャネルを通して配布し、未回答者へのフォローアップをスケジュール機能で自動化し、回答の集計とグラフ化もテキパキこなしてくれます。一度体験すると離れられないでしょうね。
こうしたアンケート業務の重要性や効果については、先日のSAPによるQualtrics買収が物語っているのではないでしょうか。
QualtricsはSurveyMonkeyのライバルとされる企業で、SurveyMonkeyに続いてIPO間近と言われていましたが、突然SAPに9,100億円というSaaSとしても最大規模の額で買収されました。それだけ高評価のサービスということでしょうね。
SurveyMonkeyのその他の指標
決算発表とともに公開された「Letter to Shareholders」にSurveyMonkeyの現状が記載されていました。
- 現在までに4,700億個の設問が回答されてきた
- 1日あたり200万人以上のアンケート回答者
- 1,600万以上のアクティブユーザ(YoYで+3.5%)
- 平均ユーザ単価は418ドル(YoYで+14.8%)
- 30万組織に62万1,000以上の課金ユーザ
- フォーチュン500の98%が課金ユーザ
- 課金ユーザの80%をセルフサービスで獲得
- 売上高の90%以上がサブスクリプションによるもの
- Q3売上高の88%がセルフサービス、12%が営業によるもの
ユーザ数やユーザ単価の成長率を見るとまだ成長余地を残していそうです。
また課金ユーザの獲得のほとんどがユーザによるセルフサービス経由というのも素晴らしいですね。
アンケート作成自体は難しいものではないですので、まずは自分で作ってみようと考えるユーザがそのまま課金ユーザに自然と変化しているのでしょう。ユーザ獲得コストはかなり低いのではないでしょうか。
<スポンサーリンク>
アンケートはシンプルだが奥深いソリューション
アンケートというものはシンプルだからこそ色々な場面で使用できますね。メール、Webサイト、スマホアプリ、チャットなどなど、どんなシーンにもSurveyMonkeyは簡単に顔を出すことができます。
そして上手い設問を設計できれば、実に様々なインサイトを獲得することができます。例えば先日にSurveyMonkeyが発表した調査がこちらです。これは企業の信用度合いが消費者にどれだけ影響を与えるかの調査結果になります。
結果の一例として、Webサイトやソーシャルメディアといったオンラインチャネルを持たない企業をどれくらい信用できるかという質問への回答です。
Webを持たない企業に対してはミレニアル世代は64%、35歳以上は42%が全く・ほとんど信用しないという結果ですね。
その一方で、スモールビジネスの45%が未だにWebサイトを持っていないという調査結果もあるようで、そういう企業は早急にWebサイトの準備が必要なことが分かります。
別の質問ではカスタマーサービスへの満足度について調査していました。
米国、英国、カナダの全てでAmazonのカスタマーサービスがトップブランドとして回答されています。
その理由としては、「問題解決への尽力」「対応の迅速さ」が特に評価されているみたいですね。
確かに日本でもTwitterでAmazonへの苦情をつぶやくと公式アカウントが素早くツイートを拾って問題解決しているのを目にすることがあります。Amazonとしても意識して力を入れている部分かもしれませんね。
SurveyMonkeyはIPO間もないこともあり今回の決算のみで好調さを確信することは難しいですが、SAPの買収劇を見てもこのサービス自体は将来性の高い重要な業務なのだろうと想像します。
案外と目立った競合がいないようにも思いますし、SurveyMonkeyはしばらく安泰かもしれませんね。
サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル
- 作者: ティエン・ツォ,ゲイブ・ワイザート
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/10/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る