アップル(AAPL)の四半期決算はなかなか良かったのですが、先行きに不安の残る内容でした。特に今のアップルの売上を一手に引き受けるiPhoneへの依存と、そこから脱却できるか否かが今後の鍵に思います。
- アップル(AAPL)の四半期決算
- 売上を牽引したのは当然iPhone
- 各製品の販売台数はコンセンサス予想に届かず
- 地域別の売上高:最も成長したのは日本
- アップル成長の鍵はサービス部門や音楽部門?
- アップルはiPhone依存から脱却できるか
アップル(AAPL)の四半期決算
Apple beats by $0.04, beats on revenue - Apple Inc. (NASDAQ:AAPL) | Seeking Alpha
Apple -1% on Q1 unit sales drop, downside guidance - Apple Inc. (NASDAQ:AAPL) | Seeking Alpha
- EPS:3.89ドル(予想を0.04ドル上回る)
- 売上高:883億ドル(予想を6.7億ドル上回る)
- ガイダンス:2018年Q2売上高見込み 600億〜620億ドル(予想:656.2億ドル)
アップルの四半期決算(10〜12月期)は、EPS・売上高はコンセンサス予想を上回ったものの、Q2(1月〜3月期)の売上高見込みが予想を下回る内容でした。
売上を牽引したのは当然iPhone
製品別売上を見るとiPhoneの売上は615.76億ドルとやはり圧倒的ですね。iPhoneという製品を世に出していなかったら今のアップルは無かったのでは、と想像してしまいます。
ちなみにOther ProductsにはApple TV、Apple Watch、Beats製品、iPod touch、その他アップルブランドやサードパーティ製品が含まれます。こうして売上高を比較するとApple Watchはイマイチ成功とは言えない製品なのかなと感じます。
総売上に対する各製品の割合を円グラフにするとさらにiPhoneの強さが際立ちますね。売上の実に7割をiPhoneが占めています。
iPhone平均販売価格はコンセンサス予想を上回る
iPhoneの平均販売価格は、予想755ドルに対して実績は796ドルと予想を上回りました。iPhone Xが平均販売価格を引き上げたのでしょうね。
下記グラフが示すように、iPhoneの平均販売価格は今回の四半期でグッと上がりました。2010年には625ドルほどでしたが、その後の上下を経て今回は約800ドル近くまで跳ね上がりましたね。これも今回の予想を上回る売上高に貢献した要因に思います。
Apple iPhone average selling price - Business Insider
各製品の販売台数はコンセンサス予想に届かず
EPSと売上高が好調でしたが、良いことばかりではありませんでした。各製品の販売台数予想と実績を比較すると、上記グラフ(単位:万台)のようにiPhone、iPad、Macのそれぞれが予想販売台数に届きませんでした。
下記記事によれば昨年10〜12月期は前年同期より1週間短いためiPhone等の販売台数に影響したとのことですが、コンセンサス予想もそれを考慮しているでしょうから不調には他の要因もあるのではと思います。
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地域別の売上高:最も成長したのは日本
前年同期比の売上高成長率
地域別に前年同期比での売上高成長を見ると、日本が他の地域を大きく超えた成長を見せていました。少々意外な感じもしましたが、それだけ日本のiPhoneファンは根強いということでしょうか。過去のニュースを見ても日本は常々高い成長率のようですね。
気になるのはアメリカを含む米州の成長率が最も低い点ですね。アメリカでのiPhone販売が鈍化しているのかなと思いますがどうでしょうね。
アジア太平洋も高い成長率ですね。最も売れているのはOPPOやHuaweiなどの中国メーカーのようですが、アップルも引き続き売れているようで、今後のアジア太平洋諸国の成長に伴い、高額なiPhoneへ乗り換える人たちも増えるのではと期待してます。
アップル成長の鍵はサービス部門や音楽部門?
製品別の売上高成長率
各製品の前年同期比での売上高成長率です。Macの-5%が目を引きますが、それよりも「サービス」と「その他」の高い成長率に期待ですね。
サービスは音楽配信のApple Music、決済サービスのApple Pay、Apple Care等のサービスを含みます。
その他にはApple TV、Apple Watch、Beats製品、iPod touch、その他アップルブランドやサードパーティ製品が含まれます。
2014年に30億ドルでBeatsを買収しましたが、その後は目立ったアップルとBeatsとのコラボレーションは無かったように記憶してます。むしろそれは、そういうブランド戦略なのかもしれませんが、一時はiPhoneを買うとBeatsのイヤホンが付いてくるのかなと期待してましたね。
BeatsやApple Watch、新戦力のHomePodなど、まだまだ魅力的な製品を持っていますし、これらとアップルのサービスを上手く活用して新ビジネスを生み出して欲しいところです。サービスの売上高は既にiPadやMacを超えていますし、その他製品も高い成長率に裏打ちされるように伸びしろは十分に思いますね。
アップルはiPhone依存から脱却できるか
世界のスマートフォンの出荷台数が2017年に初めて前年を割り込んだことが、米IDCの調査でわかった。スマホ市場は2007年に米アップルが「iPhone」を発売して以来成長を続けてきたが、15億台を目前についに頭打ちになった。新機種が出ても目新しい機能が乏しく、米国や中国などで買い替えサイクルが長期化している。
ついにスマートフォンの成長が頭打ちになってきました。中国メーカーの成長は顕著なようですが、アップルやサムスンは厳しい状況に置かれているようです。
アップルのiPhone販売台数は先に見たとおり減少傾向です。iPhone平均販売価格が大きく上がったことから、しばらくは販売台数の減少を補って増収に転じるでしょうが、そのパターンがいつまで保つのかが懸念ですね。iPhoneに依存しすぎるビジネスモデルからの脱却が成長に必要でしょう。
スマートスピーカー市場では先行のAmazon EchoやGoogle Homeに既にシェアを握られてしまい、HomePodの苦戦は避けられないように思います。何かプラスαの面白さが欲しいところです。
最近では税制改革によってアメリカに送金されると見られる25兆円もの現金で、有力なコンテンツ企業の買収に触れるアナリストも出てきています。絶好調のネットフリックスの買収はちょっと夢物語に感じますが、もし実現されたら相当強力なパートナーシップになるでしょうね。
音楽配信、スマホと、次々と新たなプラットフォーマーになってきたアップルのこと、自分たちの置かれた状況は誰よりも理解されているでしょうから、ぜひ大胆な戦略で2018年は私たちを驚かせてくれることを大いに期待してます。