ユーエスがはじめて米国株を学ぶブログ

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AppleがiPhone販売台数を非公開にしたワケ。Appleはビジネスモデルの変革期に入っている

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Appleは先日の決算で今後はiPhoneやiPad等の販売台数を非公開にすると発表しました。このことは彼らの今後のビジネスモデルを占うものかもしれません。

 

 

Apple、決算の場で今後のiPhone等の販売台数非公開を発表

www.us-stock-investor.com

先日の決算記事でも触れたとおり、Appleは今後の決算発表でiPhone、iPad、Macの販売台数を公表しない方針を発表しました。

CFOのルカ・マエストリ氏によれば、今回の方針変換の理由は

  • 近年の業績結果が示すとおり、四半期ごとの販売台数はAppleの潜在的な強みを表すものではなくなった
  • 幅広い製品ポートフォリオと広範な販売価格のため、以前ほど販売台数が重要ではなくなった

といった点にあるようです。

確かに今のiPhoneはiPhone7 32GBの¥50,800からiPhone XS Max 512GBの¥164,800まで10万円以上の幅があり、同じ1台の販売でも売上高は大きく違いますね。

 

また下記記事で触れているように、iPhoneの販売台数を公表しないのは、もうこれ以上大きくiPhoneの販売台数が伸びることはないから、という点もあるのかもしれません。

toyokeizai.net

 

これ以上iPhoneの販売台数が伸びない以上、Appleとしてはビジネスモデルを変えていかなければならず、先の記事や下記記事で指摘するように今後はサービス事業の強化を進めていくのでしょう。

www.cnbc.com

 

Appleがサービス中心に移行していくと、収益をもたらすユーザは新しいiPhoneの購入・買い替えユーザだけではなくなります。

つまり中古のiPhoneを購入するユーザも大事なサービス利用者になってきますね。現在の中古iPhoneの流通量がどのくらいかは分かりませんが、少なくとも先の販売台数の指標では測れない部分でしょう。

 

AppleのiPhone関連の数字を再確認

Appleの現状を把握するためにiPhone関連の数字をいくつか見てみましょう。

iPhoneの販売台数の成長は確かに頭打ちに

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四半期ごとのiPhone販売台数(単位:千台)と、その前年同期の成長率の推移です。

2015年Q4(9月期)までは販売台数は二桁の成長率でしたが、2016年Q1(12月期)を堺にマイナス成長になっています。

その後にちょっと盛り返してきましたが、2017年Q1以降はほぼ横ばいの低成長な状態でした。

先日発表の2018年Q4も+0.5%とほぼ前年同期と同じ販売台数となり、明確にiPhone販売台数は頭打ち状態と言えると思います。

この状態が維持されると仮定すると、毎四半期のiPhone販売台数は

  • Q1:7,700〜7,800万台
  • Q2:5,100〜5,200万台
  • Q3:4,100〜4,200万台
  • Q4:4,600〜4,700万台

くらいになるんですかね。年間で2億2,000万台に届くかどうかといったところでしょうか。

 

iPhoneの平均販売価格は上昇をキープ

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iPhoneの販売台数が頭打ちなのにAppleが毎期儲かる理由はiPhoneの平均販売価格(ASP)が上昇し続けているからですね。

2014年は600ドル前半でしたが2015年には600ドル後半に上がり、そこからちょっと下がりましたが2018年以降は一気に700ドル台にまで上昇しました。

先日の決算発表で今の平均販売価格が793ドルだと分かり、高価格モデルの導入によりASPの上昇をキープできているようです。

iPhone XS Maxのような1000ドルを超えるiPhoneが徐々に当たり前と認知されれば、ASPは800ドル、900ドルとさらに上がるのではと思いますが、どこまでiPhoneユーザが付いて来てくれるか次第ですかね。

 

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サービス部門の売上高成長は二桁を維持

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今後のAppleのビジネスを支えるであろうサービス部門の売上高(単位:百万ドル)とその成長率の推移です。

こちらはiPhoneの売上高成長率とは反対に、2016年以降は20〜30%台と大きく売上高を伸ばし続けています。

2018年Q4では99.8億ドルとなり、今期以降は四半期で100億ドル台のビジネスになるのではと予想されます。

iPadの売上高が約40億ドル、Macが約74億ドルですので、いずれはサービス部門単体でiPad+Macの売上高を超えるでしょうね。

 

またAppleは2016年のサービス部門の売上高を2020年までに倍増すると発表しています。2016年が243億4,800万ドルでしたので、2020年までには単純計算で486億9,800万ドルの売上高を目指しているということですね。

ということは1四半期あたり約121億7,500万ドルの売上高をサービス部門が達成することになり、現状にプラス22億ドルほどの成長が必要ですね。ざっと毎期3〜4億ドルほど売上高が伸びれば十分に達成可能な数字です。成長率では10〜20%台をキープすれば良さそうです。

 

現在の有料サービス購読者数は3億3,000万人を超えているとのことで、今後この数を増やしていくことが先程の目標達成に不可欠でしょう。

今の有料サービスのメインはApple MusicとiCloudだと思いますが、ユーザの幅を広げるためにはサービスメニューの拡充も期待したいところです。

また販売台数が横ばいなiPhoneに対する一手もなにか欲しいですね。もっと安いiPhoneを手がけるのか、iPod touchに代わる音楽プレイヤーを作るのか、あるいはAndroidユーザをAppleサービスユーザとして取り込める仕掛けを考えるのか、色々と想像してしまいます。

イノベーションの代名詞ともいえるAppleがこのまま終わるとは思えませんので、ぜひ次の展開に期待したいと思います。

 

 

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