FAANG銘柄としてラインナップされるFacebook、Amazon、Apple、Netflix、Google(Alphabet)のビジネスモデルの違いについてです。
FAANGを2つのグループに分ける基準の一つは「広告」
ここ数年、業績の好調なテクノロジー銘柄としてFacebook、Amazon、Netflix、Google(Alphabet)をまとめてFANG銘柄と呼んでみたり、そこにAppleを加えてFAANG銘柄としてまとめたりと、株式関連のニュースなどでこれら銘柄をよく目にしてきました。
これら5社のビジネスは(一部重なるところはありますが)基本的にはそれぞれが自分の得意分野でトップの位置にいると思います。
一方で面白い見方として、上記記事で触れているように「広告」という切り口で見てみると、「Facebook&Google」と「Amazon&Apple&Netflix」の2グループに分けることもできそうです。
すなわち、ビジネスの収益に対する広告収入依存の高さの違いですね。
各社の広告依存度は現在どれくらいか
実際のところ広告依存度は各社どのくらいなのかを見てみましょう。
Appleを除く4社は既に四半期決算を発表済みですのでそのデータを使い、アップルについては最新の四半期データを利用します。
各社の広告収入状況
広告収入割合は売上高に対して広告収入が占める割合で、成長率は前年同期比での広告収入の伸び率です。また広告収入は実際の広告収益(百万ドル)をいれています。
また上のバブルチャートは、横軸に広告収入割合、縦軸に成長率をおき、広告収入の大きさを面積として比較しています。
まずFacebookとGoogleはどちらも広告収入割合が高く、Facebookはほぼ全ての収益を広告事業から得ている状況ですね。これはFacebookを誰もが無料で使える場にしたいというマーク・ザッカーバーグ氏の方針によるものです。
先日の公聴会でFacebook有料版を示唆する発言があったとの報道もありましたが、個人的にはそれは導入されないだろうと思いますね。
また両社とも広告収入は依然として高い成長率を示しており、どちらも50%前後の伸びですね。まだ成長鈍化は見られないですし、しばらくは広告収入への依存度は高まるでしょう。
対象的なのがAppleとNetflixで、どちらも広告収入はゼロ、もしくは非常に少ないと思われます。
特にNetflixは明確に広告事業はしないことを決算発表の場でも宣言していました。
(最近のサービス利用者データの漏洩問題やGDPRについてコメントを求められたことに対して)
Wilmot Reed Hastings (CEO):
Well, I'm very glad that we built the business not to be ad-supported but to be subscription. We're very different from the ad-supported businesses, and we've always been very big on protecting all of our members' viewing. We don't sell advertising.
(広告ではなくサブスクリプションによるビジネスを構築できたことを嬉しく思っている。我々は広告頼りのビジネスとは大きく違うし、利用者の視聴環境を保護することを常に重要視してきた。我々は広告を売ることはしない。)
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Appleについては広告ビジネスを明確にやってはいます。iPhoneアプリのデベロッパー向けにSearch Adsを提供中です。
ただその売上高や成長率が公開されておらず、iPhoneの売上に比べればまだ非常に小さいのではと想像しています。Appleの「Services」部門にこの売上も含まれているのではと思いますが、具体的な数字は今のところ不明ですね。
Amazonも広告事業をやっていますが、その正確な数字はApple同様に不明です。Amazonの事業では「その他」部門に含まれていますので、上の表とグラフではその売上高を使っていますが、実際にはもう少し低めでしょうから広告収入割合は2〜3%といったところでしょう。
一方でこの「その他」部門の伸び率が+132%と倍以上に成長しており、もしかしたら広告事業が好調に伸びているのかもしれませんね。
FacebookやGoogleと同様に大量の個人データをAmazonも保有していますから、広告プラットフォームで儲けることは容易でしょう。近い将来、Amazonも広告依存度を高めることは十分に考えられますね。
元のバロンズの記事では広告依存度の高い企業として他にTwitterやSnap、Yelpなどを挙げていました。確かにTwitterは先日の四半期決算でも全体の87%程度を広告収入が占めていましたね。
デジタル広告は依然として魅力的なビジネスではありますが、昨今の利用者データ問題やGDPRのような新たな規制、もしかしたら個人データに関する規制強化の動きなどもあるかもしれません。
FacebookやGoogle、Twitterといった広告依存度の高いテクノロジー企業はビジネスモデルの見直しを余儀なくされる時がそう遠くないのかもしれませんね。

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