ユーエスがはじめて米国株を学ぶブログ

米国株投資を始めて3年目に突入。米国株初心者が学んだことを記録していきます。

企業研究:人工知能(AI)サービス銘柄に投資をしない理由

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最近は本当に人工知能(以下、AI)関連のニュースが多いです。目にしない日は無いのではないでしょうか。

そんなAIに関連する銘柄の動向も気になるところですが、今のところAIサービスを手がける企業への投資は敬遠する方針を考えています。

コモディティ化するAI

最近ではAIの処理に使われるGPUを手がけるNVIDIAがトヨタと提携して話題となっていました。そのようなAIを実現するための基礎技術については今後も継続的にニーズが発生し、また将来に渡って進化し続けるための高度な技術と少なくない投資が必要なことから一部企業による寡占状態も起こりうると思います。

 

一方で、そのAIをサービスとして提供する企業も急増しています。最も有名なサービスではIBMのWatsonが挙げられるでしょう(最もIBM自身はWatsonを「人工知能」とは呼んでいませんが)。このようなAIをサービスとして提供する企業への投資を敬遠する理由として、近い将来にAI自体がコモディティ化することを避けられないだろうと考えるからです。

コモディティ(英:commodity)化は、市場に流通している商品がメーカーごとの個性を失い、消費者にとってはどこのメーカーの品を購入しても大差のない状態のことである。

コモディティ化 - Wikipedia

 

先日、Google傘下のDeepMindが開発したAlphaGoが世界最強の囲碁棋士を倒したと話題になっていました。DeepMindの技術力も当然貢献していますが、最強の囲碁ソフトを作り出せた一番の要因は数千万(あるいはそれ以上)にも及ぶ棋譜データだったと思います。AlphaGoの中身自体は論文で公開されており、資金と技術があればかなり近いものは作れる状況にあります(当然、最新版ではさらなる改良が施されていると思いますが)。

 

AI関連の仕事をされている方々に話を伺った際も、AIを処理するために必要な環境を用意するコストは急速に低下しており、誰もが驚くほど簡単にAI処理を実行可能になったと話しておられました。そして違いを生み出すものはAIに与えるデータにあると。

 

既にコモディティ化は始まっている

様々な場面で導入の進むAIですが、先日に開催されたとあるイベントの様子を見ると、既にコモディティ化は始まっているとますます感じました。

thebridge.jp

こちらは日本IBMのIBM BlueHubが主催するオープンイノベーション・イベントのレポートです。尖った技術を持つスタートアップたちと、多様なリソースを持つ大企業(IBM含む)とのマッチングによる新ビジネス・アイデアを競う内容で、今回はインバウンドビジネスがテーマとなっています。

非常にユニークなビジネスアイデアが多数紹介されており色々と学びになるなかで、IBMの提供するWatsonやその他のリソースの使われ方が気になりました。

どのビジネスアイデアにおいても、それを支えるコアとなる部分はゼンリンの提供する地図データやロケーションデータであり、またスタートアップが独自に開発したアルゴリズムとなっており、Watsonの提供するAIサービスがコアとなっている印象は受けませんでした。むしろ、AI部分は他社サービスや自社環境に容易に置き換え可能であるように感じます。IBMのWatsonでなければ実現できなかったであろうアイデアは、一見したところでは見当たりませんでした。

もちろん、記事の総評に「また、IBMのプログラムではWatsonという次世代インフラ解析エンジンがあるので、ここになんとかアイデアを合わせようという「これは無理したな」感のある企画もいくつか拝見した。いわゆる手段と目的が逆になっているパターンだ。」とあるように、今回の企画の中では上手くWatsonがフィットしなかっただけの可能性もあります。しかし各ビジネスアイデアの競争優位を生む出す部分がデータやアルゴリズムであったのも事実に思います。AIサービスのコモディティ化の兆しとして捉えることもできるのではと感じました。

 

商品やサービスがコモディティ化すると、そこに待ち受けるのは価格競争です。IBMのWatsonに限らず、ただAIをサービスとして提供するだけのプラットフォームビジネスでは、より低価格なサービスが選ばれるだけになるでしょうから、何か他にはない優位化が必要になると思います。例えばGoogleは自身のクラウドサービス(Google Cloud Platform)と商用データプロバイダを連携させ、ユーザーがすぐに質の高いデータを分析に活用できるよう準備しています。

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商用データセット - 分析用データがすぐに使用可能  |  Google Cloud Platform

 

AIサービス銘柄への投資は、AIのコモディティ化の先を見据えて検討していきたいと考えています。今はまだ具体的なイメージがわかないため、長期投資の観点からもちょっと投資は敬遠するつもりです。

 

参考にした記事

www.nikkeibp.co.jp

thepassion.jp

www.forbes.com

www.techradar.com