NVIDIAが第2四半期決算を発表しました。決算内容はボチボチでしたね。ただゲーム、データセンターの部門は相変わらず好調でした。
NVIDIA(NVDA)の2019年第2四半期決算
- EPS:1.94ドル(予想:1.84ドル)
- 売上高:31.2億ドル(予想:31億ドル)
- ガイダンス:Q3 EPS 1.85〜2.02ドル(予想:1.99ドル)
- ガイダンス:Q3 売上高 31.9〜33.2億ドル(予想:33.4億)
NVIDIAの2019年第2四半期決算はEPS・売上高は予想を上回るもののガイダンスがEPS・売上高ともに予想に届きませんでした。
EPSの伸びは素晴らしいですが、仮想通貨マイニングの需要減衰の影響で売上高が大きくは伸びませんでしたね。
今四半期のEPS・売上高の見込みがちょっと弱いのも気になりますね。ゲーム市場・AI市場ともにまだまだ成長すると思っていますが。
今回の決算を受けて時間外取引では株価が-5%前後下げています。
売上高、利益の比較(単位:百万ドル)
売上高は前年同期比で+40%の31.2億ドルでした。
粗利益(Non-GAAP)は+52%で19.8億ドル、粗利益率は63.5%に上がりました。
Non-GAAPの営業利益、純利益はそれぞれ+67%、+90%の増加でした。
EPSは1.01ドルから1.94ドルに大きく伸びましたね。
セグメント別の売上高
セグメント別にQ2の結果を見てみましょう。
売上高が最も大きいのは変わらずGaming部門です。成長率も+52%と大きく伸びていますね。Gaming部門だけで売上高の6割近くを占めています。
次に売上高の大きい部門はDatacenter部門です。昨今の機械学習の普及も手伝い、学習用GPUの需要が高いのでしょうね。成長率も+83%と全部門で最大の伸びを見せています。
一方で大きく売上を減らしたのがOEM&IP部門です。前年同期比で-54%の減少となりました。仮想通貨マイニングの需要減衰の影響を大きく受けたようです。
仮想通貨マイニングについては決算発表の場でCFOのKress氏が下記のように述べていました。
Our revenue outlook had anticipated cryptocurrency-specific products declining to approximately $100 million, while actual crypto-specific product revenue was $18 million, and we now expect a negligible contribution going forward.
我々の売上高見通しでは仮想通貨用途の製品売上は約1億ドルに下がると予想していましたが、実際の売上は1,800万ドルでした。 現在のところ、(これら製品の)将来の売上への貢献は無視できる程度になると予想しています。
仮想通貨関連の売上高を1億ドル程度と見込んでいたところ、蓋を開けてみると1,800万ドルだったとのことで、予想以上に仮想通貨マイニングの需要は減衰しているようですね。将来的にもこの需要は復活しないと予想しているようです。
四半期ごとの売上高内訳
四半期ごとの売上高内訳の推移です。
やはりGaming部門とDatacenter部門の割合が目立ちますね。
仮想通貨需要に支えられたOEM&IP部門は前四半期の19年Q1が突出して大きかったですが、今後は元の水準に戻るのでしょう。
Gaming部門とDatacenter部門の成長率
稼ぎ頭の両部門の成長率推移です。
Gaming部門は前四半期から成長率が大きく伸びましたね。eスポーツの盛り上がりのおかげでしょうか。
Datacenter部門はずっと高い成長率を維持しています。今後の景気次第では企業の設備投資が引き締められることも起こりそうですが、AI市場や自動運転市場などGPUを必要とする新ビジネスは今後も増え続けると思いますね。
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NVIDIAが発表した「Turing」アーキテクチャはCGの新イノベーション
「2006年にCUDA(とGeForce 8800を)導入して以来の最大の飛躍だ」。
NVIDIAのジェンスン・フアン氏(Founder and CEO, NVIDIA)は、カナダのバンクーバで開催されたCG学会「SIGGRAPH」の基調講演で、新グラフィックス向けGPUアーキテクチャ「Turing」をこう表現した。Turingは、NVIDIAのグラフィックス製品(GeForceとQuadroブランド)に向けた新GPUだ。そして、これまでにない革新的なグラフィックス製品である。
先日にNVIDIAはGPUの新しいアーキテクチャ「Turing」を発表しました。CEO自ら「この10年で最も重要なイノベーション」と述べているように、コンピュータ・グラフィックス業界に革新をもたらすと期待されています。
決算発表の場でもTuringについてその革新性・将来性を強調しており、同社の期待値の高さが伺えますね。TuringベースのQuadro GPUは2018年第4四半期に出荷が開始される予定とのことですので、決算報告を楽しみにしておきましょう。
TuringベースのGPUが影響しそうなProfessinal Visualization部門はNVIDIAの中でも売上高の小さい部門ですが、Turingが評価されれば同部門の成長率も向上するかもしれませんね。
今回の決算発表では仮想通貨マイニングの需要減衰が影響しましたが、NVIDIA自身も仮想通貨需要にはもう期待していないようですし、あれは一時のボーナスみたいなものと割り切るほうが良さそうです。
それよりも、今後も成長が期待できるeスポーツ市場やAI市場、Turingで新たに切り開くCG市場などに向けて事業の舵取りをしていくことが重要でしょう。その点ではNVIDIAの成長力はまだまだ陰りが見えませんので、あまり今回の決算内容に囚われすぎない方が良いかと思いますね。
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