建設機器の最大手キャタピラーが2018年第4四半期決算を発表しました。
キャタピラー(CAT)の2018年第4四半期決算
- EPS:2.55ドル(予想:2.99ドル)
- 売上高:143.4億ドル(予想:143.3億ドル)
- ガイダンス:2019年度EPS 11.75〜12.75ドル(予想:12.64ドル)
キャタピラーの2018年第4四半期は売上高は予想をわずかに上回るもののEPSが予想を大きく下回りました。
ガイダンスについても、2019年度のEPSが11.75〜12.75ドル(中間値:12.25ドル)と予想を下回っています。
リリースによれば、2019年の売上高はマクロ経済と地政学の影響により緩やかな増収を見込んでいるとのことです。
キャタピラーの部門別売上高は次の通りでした。全部門で増収でしたね。
- 建設産業:57.05億ドル(+8%)
- 資源産業:27.97億ドル(+21%)
- エネルギー&輸送:62.87億ドル(+11%)
地域別の売上高
2018年Q4の地域別の売上高です。北米の売上高が全体の半分近くを占めていますね。
売り上げ順ではEAME、アジア・太平洋、ラテンアメリカと続きます。
建設産業の部門については、アジア・太平洋地域での中国需要の減衰により売上高が減少したとのことです。ただ同地域の他の国々の需要により一部相殺されました。
建設産業は世界経済のバロメータとも言われますし、中国経済の減衰は今後の経済見通しに影響を与えるでしょうね。
地域別売上高の推移
ここまでの四半期ごとの売上高推移です。
全体的には売上高が伸びてきていますが、ここ最近の四半期ではちょっと頭打ちな感じにも見えますね。
各地域の売上高成長率は下記の通りです。
<前年同期比>
・北米:13%
・ラテンアメリカ:10%
・EAME:12%・アジア・太平洋:8%
<前期(Q3)比>
・北米:6%
・ラテンアメリカ:13%
・EAME:8%
・アジア・太平洋:1%
地域別ではアジア・太平洋の成長率が最も低いですね。これも恐らくは中国経済の景気の影響ではと思います。
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中国の景気鈍化は他の業界でも
今回の決算を受けてキャタピラーの株価は大きく下落しましたね。現在のところ-9%ほど下落しています。
同様に大きく下落した銘柄が昨日はありました。半導体大手のNVIDIAです。
NVIDIAは昨日に第4四半期の売上高予想を下方修正しました。もともとは27億ドルを見込んでいましたが、それを22億ドルに下げました。
要因としてはゲーミング部門とデータセンター部門の売上低迷が挙げられており、ゲーミング部門については中国でのGPU需要が想定より低くなっていることが理由のようです。新しいGPUアーキテクチャとして期待されたTuringも思っていたほどには売れなかったみたいですね。
データセンター部門では主にAI向けのGPUを企業が大量導入してくれるとの期待がありましたが、こちらも企業が導入に慎重な姿勢となり、契約の多くが締結できていない状況とのことです。AIは確かにブームにはなっていますが、ビジネスとして見たときにはまだ大規模に導入されるほどには成長していないのかもしれませんね。
NVIDIAの下方修正を受けて株価の方は-14%近くまで下げてしまいました。またAMDなど他の半導体銘柄にも飛び火してますね。
NVIDIAは前回の決算のときも予想を下回るガイダンスを発表して株価は-16%も下落していました。仮にNVIDIAを保有していたとしてもこの時に売却していれば今回の暴落によるダメージは避けられましたね。やはり決算の悪かった銘柄はクールに売却する方が良さそうです。銘柄に惚れてはいけませんね。
中国経済の鈍化が建設業界、半導体業界と続けて見られました。今後も別の業界でも同様の兆候が決算発表で見られるのではと思われます。世界経済の低迷にどこまで影響するかは分かりませんが景気後退はじわじわと迫ってきている印象ですね。

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