Appleのティム・クックCEOがCNBCのインタビューに答え、同社の買収戦略について語りました。
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Appleは2〜3週間に1社のペースで会社を買収
AppleのCEOティム・クックがバークシャー・ハサウェイの年次株主総会に初めて出席し、その場でCNBCのインタビューに応じました。
そのインタビューの中で、Appleが自社の戦略に適した会社を2〜3週間に1社の割合で買収していることを明らかにしました。
ティム・クックによれば、Appleはこの半年間で20〜25社を買収したとのこと。買収した会社は小規模であるためAppleはそのディールを発表していません。
買収の目的な主にタレントと知財の獲得とのことで、Appleの戦略にとって必要な人と技術を積極的に集めているようですね。
Appleは買収に積極的
Appleは確かに買収の多い企業です。Wikipediaにまとまっているリストを見ると、表に出ている情報だけで105社の企業買収がありました。ここに載っていない小規模な買収が2〜3週間おきに起こっているのでしょうね。
表立った買収の中で最も新しいニュースはRPA企業のStamplay買収です。今年の3月のニュースですね。
買収した企業はAppleのサービス戦略にも活かされています。最近ではデジタル雑誌アプリのTextureを買収し、新たにサブスクリプションのApple News+としてリリースされました。
ちなみに過去最大の買収はBeats Electronicsの30億ドルですね。最近ではAirPodsと同じチップを搭載したワイヤレス・イヤホン「Powerbeats Pro」を発表してました。
Appleの買収を支える潤沢なキャッシュ
Appleが2〜3週間に1社買収というハイペースな買収戦略を実行できるのも、非常に潤沢なキャッシュをAppleが持っているからですね。
先月末に発表したAppleの四半期決算によれば、Appleは2019年3月末時点で2,254億ドルのキャッシュ(現金同等物、有価証券含む)を保有しています。日本円で約25兆円というとんでもない規模のキャッシュですね。
Appleが本気になれば買えない企業はないのではと思ってしまいます。その割に、Appleの大型買収は先のBeats Electronicsくらいですね。
Appleとしては先程のティム・クックの言葉の通り人材と技術の獲得がメインで、Beatsのようなブランドが出来上がっている企業の買収にはあまり興味がないのかもしれません。Apple自身が世界トップのブランドの一つですしね。
ご参考
ウォーレン・バフェットによるApple株への投資について
CNBCによるティム・クックへのインタビュー・スクリプトは下記にまとまっています。買収戦略以外にも色々と語っていますので興味ある方は一読を。
インタビューの中で、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイがApple株への投資をし始めたことについて、どうやってそのことを知ったのか聞かれると、他の人と同じくSECに提出されたバークシャー・ハサウェイの13Fファイリングを誰かが見つけてティムに教えてくれたようですね。
思わず「Oh, this is really cool」と感じたそうです。
また、ウォーレン・バフェットはテクノロジー企業および彼が理解できない企業への投資はしないことから、バフェットはAppleのことを消費者企業として見ているだろうと語っています。
ティムによれば、Appleはハイテク業界の企業ではあるが、あくまで消費者中心の企業であるため、バフェットがAppleを消費者企業として見てくれていることは非常に嬉しいとのこと。
テクノロジーについては、テクノロジーはフォアグラウンド(前面)ではなくバックグラウンドに存在すべきもので、それにより人びとが今までできなかったことをできるようにするものであり、もしテクノロジーが前面に現れているとしたら有効に技術を活用できていない、とのことで、このあたりにAppleの哲学が示されているのでしょうね。
iPhone依存からサービス事業へシフトし始めたAppleですが、今回のインタビューでそれを支えるために積極的に買収していることが分かりました。このシフトが功を奏すか、今年のApple決算には注目したいと思います。
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