住宅リフォーム大手のロウズ(Lowe's)が四半期決算を発表しました。売上高はOKでしたが利益が市場予想に届かず、株価の急落を招いています。
ロウズ(LOW)の四半期決算
Lowe's misses by $0.13, beats on revenue - Lowe's Companies, Inc. (NYSE:LOW) | Seeking Alpha
- EPS:0.74ドル(予想を0.13ドル下回る)
- 売上高:154.9億ドル(予想を1.6億ドル上回る)
- ガイダンス:2018年通期売上高 〜711.4億ドル(予想:713億ドル)、2018年通期EPS 5.40〜5.50ドル(予想:5.87ドル)
ホームセンター大手ロウズの四半期決算は売上高はコンセンサス予想を上回るものの、EPSとガイダンスでコンセンサス予想を下回る結果となりました。
四半期の利益が残念だったのも心配ですが、2018年のガイダンスが今年は成長の厳しい年になることを暗示しているのがさらに心配です。米国ではリフォームやリノベーションがブームとも聞いていたのですが、そのトレンドに上手く乗れなかったのでしょうか。
チャートで見る決算内容
四半期と年間の売上高比較(単位:百万ドル)
まずは第4四半期と年間の売上高比較です。第4四半期ではわずかに前年割れという結果でしたが、年間の売上では前年を超えていますね。
1年の期間で見ると米国のリフォーム・ブームを全く捉えられなかった訳ではなさそうです。
粗利益率の比較
粗利益率(Gross margin)を比較してみます。第4四半期も年間も粗利益率はちょっと下がってしまいました。利益の成長鈍化も懸念材料の一つなのかなと思いますね。
米国の既存店舗の売上高成長率
ホームセンターのようにネット通販ではなく店舗販売がメインのビジネスでは、既存店舗の売上高が成長しているかが重要です。言わば店舗を利用するファンや固定客がきちんと増えているかどうかですね。
上のチャートの通り、ロウズの米国における既存店舗売上の成長率は2〜5%程度でプラスの成長でした。どの四半期も前年比で成長だった点は好材料ですね。
一方でこの成長率が高いのかどうかを確認する意味で、ライバルのホーム・デポ(Home Depot)の米国における既存店舗売上の成長率と比較してみました。
ホーム・デポとの比較
ホーム・デポも米国の既存店舗売上高の成長率を示しています。ホーム・デポは成長率が6〜7%後半の水準で成長しており、成長率ではロウズを上回る結果を示していました。
ホーム・デポの成長率が高いのかロウズの成長率が低いのか、とにかく2017年の米国ホームセンター業界ではホーム・デポの成長に軍配が上がっていたようです。ちなみに先週発表のホーム・デポの四半期決算はEPS・売上高ともに予想を上回るものでした。
米国の中古住宅不足の影響は?
全米不動産業者協会(NAR)が発表した1月の中古住宅販売件数は、市場予想に反して前月から減少し、4カ月ぶりの低水準をつけた。NARによると、住宅在庫不足が販売に影響している。
1月の販売件数は季節調整済みで前月比で3.2%減の年換算538万戸となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は560万戸だった。中古住宅価格(中央値)は前年同月比5.8%上昇して24万500ドル。在庫は前年同月比9.5%減の152万戸と、1月としては1999年の統計開始以降で最も低い水準となった。
記事によれば、米国の中古住宅販売件数は予想に反して減少しており、 その結果、中古住宅の価格が前年比で5.8%上昇したとのことです。住宅を買いたいニーズはあれど、手の届く価格の中古住宅が不足している状況のようですね。
中古住宅は米国の住宅販売の約90%を占めるそうで、中古住宅の供給不足が負のスパイラルにならないかが心配です。ロウズやホーム・デポの立場からすれば、中古住宅が売れることでリフォームに手を出すお客が増えるでしょうから、今の米国の住宅事情はちょっと向かい風なのではと思いますね。ロウズの弱気なガイダンスもこの辺に理由があるのかもしれません。
ホームセンター業界としては、中古住宅不足が解消されてより多くの家族が家を持つことが最重要でしょうから、早期にこの問題が解決するといいですね。