ネットワーク機器メーカーでシスコ・システムズのライバルでもあるアリスタ・ネットワークスの株価が決算発表後に急落していました。ここ数年の成長著しい同社ですが急落の原因は何なのでしょう?
アリスタ・ネットワークス(ANET)の概要
アリスタネットワークスは、2004年に米国のカリフォルニア州で創業されたネットワーク機器メーカーであり、主にデータセンター、仮想化・クラウドコンピューティング向けのイーサネットスイッチ製品を開発、販売している。 本社は、米国・カリフォルニア州サンタクララ。
アリスタ・ネットワークスは主にデータセンター向けのネットワーク機器を扱うベンダーです。同じくネットワーク機器を扱うシスコ・システムズとはライバルですね。
ガートナーのマジック・クアドラントによれば、データセンター向けネットワークのベンダーの中では唯一シスコ・システムズとともにリーダーのポジションに居ます。
ここ数年の同社の株価の伸びは大きく、特に2016年後半あたりから上昇トレンドにのっている印象です。
ただ最近は株価の波が激しいことが時折あり、昨日も-8.5%と大きく株価を下げていました。
どうやら先日に発表した四半期決算に原因がありそうですが、具体的に何が懸念されたのかを見てみましょう。
アリスタ・ネットワークスの2018年第1四半期決算
https://seekingalpha.com/news/3352415-arista-beats-0_15-beats-revenue
- EPS:1.66ドル(予想を0.15ドル上回る)
- 売上高:4.72億ドル(予想を913万ドル上回る)
- ガイダンス:第2四半期 売上高 5〜5.14億ドル(予想:5.042億ドル)、非GAAP粗利率 62〜64%(予想:64.2%)
アリスタ・ネットワークスの2018年第1四半期決算は、EPS・売上高がコンセンサス予想を上回りました。
一方のガイダンスでは、売上高は予想を上回るレンジを示していますが、非GAAPの粗利益率が予想を下回っていました。
どうやらこのあたりに株価急落の原因がありそうです。
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チャートで見るアリスタ・ネットワークスの四半期決算
売上高、利益の比較(単位:百万ドル)
アリスタ・ネットワークスのQ1は、売上高が+41%の成長で4.72億ドルでした。
粗利益も+41%の成長でおよそ3億ドル、営業利益は+64%と大きく伸びて1.67億ドルでした。
当期純利益は+87%と更に大きく成長して1.34億ドルでした。
粗利益率、営業利益率ともに前年同期比でプラスの成長を示しています。
正直、ここだけ見ると非常に好調な状況にしか見えませんね。
急落の原因は粗利益率が連続して低下したこと?
Arista Networks stock falls after outlook disappoints - MarketWatch
コチラの記事によれば、アリスタ・ネットワークスの粗利益率が最近の決算で連続して低下している点に触れています。
今回発表の2018年Q1までの売上高と粗利益率の推移は下記のようになります。
売上高、粗利率、粗利益率の推移(単位:百万ドル)
売上高、粗利益ともに順調に伸びているように見えます。肝心の粗利益率も64%台をキープしていますね。
特に前期の2017年Q4が好調だったようで、粗利益率は65.9%と1%以上伸びていました。
そしてそこから比べると、今回の2018年Q1決算では粗利益がちょっと減り、粗利益率も元の水準に戻ったように見えます。
これに2018年Q2ガイダンスの中間値を加えると、それぞれの推移は下記のようになります。
ガイダンスの中間値によれば、2017年Q4から連続して粗利益率が下がり、さらに粗利益率が63%台(あるいは62%台)に低下する可能性があります。
ここ最近はずっと横ばいだった粗利益率が急に下降気味になるとの見通しが嫌気して、今回の急落を招いたのかもしれません。
急落の原因は売上高成長の鈍化?
別の観点として、アリスタ・ネットワークスの売上高の成長が鈍化し始めているのではという意見もあるようです。
試しに今回の決算結果とQ2ガイダンスの中間値をプロットすると下記のようになります。
売上高、成長率の推移(単位:百万ドル)
今回のQ1決算では+41%の成長で、前年同期が+38%でしたからしっかり成長しているように思われます。
一方でQ2ガイダンスによれば、2018年Q2は成長率が+25%と大きく下がる見通しです。2017年Q2が+51%ですから、成長率が前年同期比で半減しているともとれますね。
最近は四半期ごとに前期と比べて成長率が微減していましたが、25%にまで落ちるのは確かにちょっと心配したくなります。
いくつかの記事を参考にしましたが、この収益・成長率の鈍化が懸念されたのではないかと思われます。
一方で、アリスタ・ネットワークスはこういった保守的なガイダンスを何度も上回ってきたといった意見もあり、本当に成長が鈍化し始めているのかは次の決算発表を見ないとなんとも言えないですね。
個人的にはデータセンター向けネットワーク機器の需要はまだまだ強いと思いますし、既にシスコ・システムズを保有していますが今回の急落は優良なグロース企業を買う良い機会ではと思っています。
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