医療業界向けSaaSを提供するVeeva Systemsが第2四半期決算を発表しました。
Veeva Systems(VEEV)の2019年第2四半期決算
- EPS:0.39ドル(予想:0.35ドル)
- 売上高:2.096億ドル(予想:2.04億ドル)
- ガイダンス:第3四半期 EPS 0.38ドル(予想:0.35ドル)
- ガイダンス:第3四半期 売上高 2.15〜2.16億ドル(予想:2.11億ドル)
- ガイダンス:2019年通期 EPS 1.47〜1.48ドル(予想:1.37ドル)
- ガイダンス:2019年通期 売上高 8.4〜8.43億ドル(予想:8.29億ドル)
Veeva Systemsの第2四半期決算はEPS・売上高・ガイダンスの全てでコンセンサス予想を上回る好決算でした。
株価も+12%以上上がっていました。
Veeva Systemsは医療業界向けに顧客情報管理のCRMやコンテンツ管理、データ管理といったサービスをクラウドで提供するSaaSベンダーです。
CRMといえばSalesforceが有名ですが、Veevaは医療業界に徹底的に特化することで、その業界での強いポジションを築き上げました。ちなみにVeeva設立にはSalesforce出身者も加わっているようです。
売上高、利益の比較(単位:百万ドル)
売上高は前年同期比で+25%の伸びでした。
粗利益は+28%の伸びで1.54億ドルでした。また粗利益率も1.5%増えて73.7%となりました。
営業利益は+39%、純利益は+68%とそれぞれが大きく伸びました。
EPSは0.24ドルから0.39ドルへ増加しました。
売上高の内訳
売上高の内訳は大きくクラウドサービスのサブスクリプションとプロフェッショナル・サービスの2つです。
サブスクリプションが売上高全体の8割を占めています。
成長率ではサブスクリプションが+25%、プロフェッショナル・サービスが+24%とほぼ同じ成長率でした。サービス契約をする際に合わせてサポート等のサービスも契約しているのでしょうね。
ここ数年の決算状況(単位:百万ドル)
年度別の売上高、営業キャッシュフロー、および営業CFマージンの推移です。
売上高は毎年+30%前後で成長しています。まだまだ成長の余地は大きそうですね。
営業キャッシュフローも年々増加しており、また営業CFマージンも着実に伸びてきています。2018年度は34.1%と非常に高い数値でした。
Veeva Systemsはこれら数値からも安定してキャッシュを稼いでいると言えそうです。
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特定の業界に特化したVertical(垂直型) SaaSの急成長
SaaSの動向を紹介するこちらのレポートが面白かったです。レポート自体もダウンロードして全て目を通しました。
その中で最近に急成長を続けるVertical SaaSの紹介があり、そこでVeeva Systemsも触れられていました。
Vertical SaaSは市場が拡大していくことに加え、Horizontal SaaSに比べて(1)カテゴリーキングになりやすいこと(製薬業界向けCRMのVeevaは8年で60%のシェアを獲得)、(2)キャッシュ効率がよく必要な資金調達額が少ないこと(Vertical SaaSはHorizontal SaaSに比べて、IPOまでに必要な資金が44%も少ない)、(3)レベニューマルチプルが高くつくこと(売上成長率も高く、結果としてHorizontal SaaSの4.4xに対してVertical SaaSは4.6x)を魅力として整理しています。
業界特化のVertical SaaSは財務や人事といった業務特化のHorizontal SaaSよりも成長性が高いようですね。
また業界で受け入れられればその勢いでカテゴリーキングになる可能性も魅力で、Veevaは医療業界でまさにその地位に居るベンダーと言えそうです。
この調子で好決算を継続できればその地位はさらに盤石なものになりそうですね。