先日にベライゾンが米国の一部都市で世界初の5Gサービスを開始しました。ライバルAT&Tとは異なる戦略が功を奏するか要チェックです。
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ベライゾン、世界初の5Gサービスを開始
ベライゾン・コミュニケーションズはAT&Tやスプリントとの厳しい競争の中、第5世代(5G)携帯電話サービスを米通信事業者で最初に提供を始めた。
ベライゾンの無制限のデータプランの顧客は3日から、ミネアポリスとシカゴの一部で月額10ドル(約1100円)の追加料金で限定された数の電話で毎秒1ギガビットの通信速度を得られる。二都市でのサービス開始は、年内に5Gサービスを30都市で導入する目標の一環。
ベライゾンがAT&T等のライバルに先駆けて5Gサービスを開始しました。
ただ、今のところはミネアポリスとシカゴの一部のみで利用可能とのことで、非常に限定的なサービス開始でしたね。対応機種もモトローラのMoto Z3のみです。
他の報道にもあったように、韓国キャリアから「世界初」を奪うためになりふり構わずリリースした側面もありそうです。
5Gサービス、その実力は?
気になるのは5Gサービスになってどのくらい通信速度が速くなるかですね。
Twitterでベライゾンの5Gサービスの通信速度テストをしている人のツイートがありましたので紹介します。
This is real 5G! pic.twitter.com/HwDB3GVETd
— George L. Koroneos (@GLKCreative) 2019年4月3日
この人の通信速度テストでは、下りが585Mbps、上りが60Mbpsほどという結果で、噂通りの通信速度は出ている印象ですね。
まあまだ利用者も少ないでしょうからネットワークも空いていると思いますので、今後もこの品質でサービス提供されるかどうかですね。
日本でも早く利用できる日が来るといいですねー。
ベライゾンとAT&T、その戦略の違い
バロンズでちょうど両社の戦略の違いについて説明する記事がありました。
記事冒頭にある通り、両社の戦略の違いを一言で表すと、「ネットワークに賭けるベライゾン、コンテンツに投資するAT&T」ですね。
AT&TはディレクTVやタイム・ワーナーといった大型買収を最近続けています。5Gにももちろん投資をしていますが、AT&Tはその高速ネットワークに流すコンテンツへの投資も非常に積極的に進めていますね。
対するベライゾンも旧AOLやYahoo!を含むメディア部門を持っていますが、その事業は縮小化しているようです。今年に入り人員削減のニュースもありました。
やはりベライゾンとしては5Gサービスのようなネットワーク主体のサービス展開を戦略の主軸としているのでしょう。
コンテンツや広告といった事業に多角化していくAT&Tと、ネットワークにかけるベライゾン、どちらの戦略が功を奏するかは今後の決算を要チェックですね。
ベライゾンの携帯電話事業は既に頭打ち
ここでベライゾンの事業別売上高の推移を見てみましょう。携帯電話事業のWireless部門と固定電話事業のWirelineとの比較です。
当初は固定電話事業の方が売上高は上でしたが、2008年を境に携帯電話事業の売上高の方が大きくなりました。ちょうどiPhoneのリリースが2007年でしたので、スマホブームの後押しもあったのですかね。ちなみにベライゾンがiPhoneの取扱い開始したのは2011年からです。
ただ、好調に売上高を伸ばした携帯電話事業ですが、2015年からは横ばいとなってしまいました。スマホの出荷台数も頭打ちと言われていますし、ベライゾンとしても打開策を必要としていたのではと思います。
こちらは両事業の営業利益の推移です。
こちらも2004年時点では同じ程度の利益でしたが、その後の違いは一目瞭然で、今や営業利益は携帯電話事業のみが担っていますね。
こちらも2015年あたりから頭打ち感が出てきましたが、2018年度は少し伸びたようです。
ただ全体としては米国の携帯電話市場の成熟のために厳しい状況なのは変わらないですね。
ベライゾンとしては5Gサービスを早期開始することで同サービス加入者を他社より早く増やしたいのでしょうね。それにより携帯電話事業を再び成長させることを期待していると思います。
ところでiPhoneの5G対応はいつ頃に?
ちょっと話はそれますが、5G対応という点でiPhoneがいつ対応するかも気になるところです。
アナリスト予想では、Appleが5G対応iPhoneをリリースするのはもしかしたら2021年になるのでは、と言われているようです。
その理由として、5Gモデムチップの供給が2020年でも間に合わない可能性が高い点を挙げています。
5Gモデムチップの供給先として最大手のクアルコムとは特許とライセンス料を巡って訴訟中ですし、現在の供給元であるインテルは5Gモデムチップの開発が遅れているといいます。
そのためAppleとしては安定して高性能なチップを供給できる相手を見つけるまでiPhoneの5G対応は難しい状況と言えそうです。
一方で、訴訟中のクアルコム側はiPhoneへの5Gモデムチップ供給を考えないわけではないようです。
これも訴訟に絡んでのネゴシエーション材料なのかもしれませんが、もしこの供給契約が実現できれば、iPhoneの5G対応も早期に市場投入できると期待しますね。
Appleとしては、サービス事業の強化が優先度高めでハードとしてのiPhoneはちょっと関心が薄れているかもしれませんが、5G対応機種となると話は別でしょう。高速なモバイル通信があることでサービス事業もより魅力的になるかもしれませんしね。
ベライゾンにより5Gサービス競争が始まり、いずれは日本でもサービスが開始されるでしょう。その時はぜひiPhoneで利用できるようになってて欲しいところです。