今回は電気通信サービスについてです。
昨今のスマホの普及やIoTのトレンドもあり、今後ますます重要なインフラ事業になるのではないかと思います。 また長期投資の観点でも重要になりそうなセクターです。
ちなみに先日に購入したAT&Tが含まれるセクターでもあります。
バンガード・米国電気通信サービス・セクターETF (VOX)を参考に
バンガード・米国電気通信サービス・セクターETF (VOX)は米国の電気通信・サービス・セクターの大型株、中型株、小型株に投資 するETFで、「主として固定回線、携帯無線、ワイヤレス、広帯域通信、光ファイバー・ケーブルネットワークを通じて通信サービスを提供する企業で構成」されています。
保有上位10銘柄と産業別構成比は下記のとおりです。
銘柄としてはAT&Tとベライゾンの二強となっています。産業別では総合電気通信サービスが65.5%です。
まずは二強のAT&Tとベライゾンの動向についてみてみます。
AT&Tのトピックとしてはタイム・ワーナー買収が実現できるかがあると思います。
ただの通信事業者の立ち位置から脱却するためコンテンツホルダーをまるごと取り込む戦略のようです。スマホやWi-Fiスポットの普及に伴い、NetflixやAmazonの競争も含めて動画配信事業はちょっとしたバブル期に入っているようにも感じます。時代に乗り遅れることを懸念しての買収といった側面もあるかと思いますが、いずれはじけるはずの動画配信バブルに対してどう戦略を組み立てているのかが気になります。
またベライゾンも負けじとコンテンツホルダーとの連携を模索しているようです。
通信サービス企業によるコンテンツホルダーとの合併や連携は、業界再編の1つのトレンドに思います。
これら二強を追う立場のTモバイルは、ソフトバンク傘下になりましたスプリントと合併に向けての動きが出てきているようです。
オバマ前政権では実現できなかった合併案ですが、記事によると
ソフトバンクの孫社長はトランプ大統領に500億ドル(約5兆6000億円)の対米投資方針をちらつかせており、雇用拡大と規制緩和を優先課題とするトランプ政権から承認を得る可能性は高まるかもしれない。
とのことで、孫さんの戦略的・天才的なリーダーシップにより現実味が増しているようです。
もう一つのトピックとしては、いずれ来る第5世代移動通信システム、いわゆる5Gへの対応があります。AT&Tもベライゾンも米国での実証実験に着手しており、また周波数帯の軍拡競争も始まっています。
コンテンツ配信事業、5G事業ともに、このセクターの動向を把握するために継続して見ていきたいと思います。
経営状況を見てみる
AT&T(T)
年 | 純利益 | 営業CF | 売上高 | 営業CFマージン |
2014 | $6,442 | $31,338 | $132,447 | 23.7% |
2015 | $13,345 | $35,880 | $146,801 | 24.4% |
2016 | $12,976 | $39,344 | $163,786 | 24.0% |
(単位:百万ドル)
営業CFは順調に伸びています。営業CFマージンも24%前後をキープしており、経営状況は良さそうです。ただ純利益が若干下がっていますね。
AT&Tは30年以上連続して増配している企業としても有名です。先日に投資先として決めたのもこのためです。
タイム・ワーナーの買収がどういう結末となるかが2017年は気になりますが、将来の5Gビジネスもありますので、長期投資の銘柄として継続して購入していきたいと考えています。
ベライゾン(VZ)
年 | 純利益 | 営業CF | 売上高 | 営業CFマージン |
2014 | $9,625 | $30,631 | $127,079 | 24.1% |
2015 | $17,879 | $38,930 | $131,620 | 29.6% |
2016 | $13,127 | $22,715 | $125,980 | 18.0% |
(単位:百万ドル)
営業CF、マージンともに2016年に減少に転じています。しかし営業CFマージンは15%以上を維持しており、まだ大きな問題にはなっていないようにも思います。
AT&Tの競合企業ではありますが、投資先としてみたときには分散投資の銘柄としてぜひ購入したいと考えています。こちらも5Gビジネスに対する動向を見ておきたいと思います。
Tモバイル(TMUS)
年 | 純利益 | 営業CF | 売上高 | 営業CFマージン |
2014 | $247 | $4,146 | $29,564 | 14.0% |
2015 | $733 | $5,414 | $32,053 | 16.9% |
2016 | $1,460 | $6,135 | $37,242 | 16.5% |
(単位:百万ドル)
二強に比べると売上高は見劣りしますが、営業CFは着実に増加しています。営業CFマージンも増加傾向にあり、成長性を感じます。
Tモバイルは先述の通りスプリントとの合併がどうなるかが非常に気になります。当のスプリント側は、自社の持つ周波数帯の価値を把握しており、すんなりとTモバイルとの合併を了承しないかもしれない状況です。こちらも行く末を継続して見ていきます。
電気通信サービス企業については、インフラを活かしたコンテンツ配信事業の成否と、将来の5Gサービスへの戦略性が引き続き注目ポイントと思います。