ここ最近の小売ビジネスの変化は目まぐるしいものがありますが、ウォルマートがGoogleとオンラインショッピングで提携するというニュースを目にし、ますます競争の激しい業界になりそうです。
ウォルマートとGoogle、オンラインショッピングで提携とのニュース
小売り最大手の米ウォルマート・ストアーズと米グーグルは23日、インターネット通販事業で提携すると発表した。人工知能(AI)を搭載したスピーカーなどで簡単に商品を注文できるようにする。小売業界では米アマゾン・ドット・コムがネット通販で勢力を伸ばす。ウォルマートはもう一つのネットの巨人、グーグルとの提携に踏み切り対抗する。
ウォルマートとGoogleが提携するということで、小売業界の巨人とハイテク業界の巨人によるパートナーシップはかなり強力なものになりそうですね。
GoogleはAIスピーカーのGoogle Homeを2016年10月に発表していました。今回の提携では、このGoogle Home経由でウォルマートの商品を購入可能となるようです。
もともと「声で購入する」というスタイルはAmazonが始めたもので、2014年にAIスピーカーのAmazon Echoを発表後、2015年5月にはプライムメンバー向けに音声での買い物機能を提供していました。
日経の記事によれば、現在のAmazon Echoのユーザーのうち半数以上が音声による買い物を経験しており、その3割は週に1回以上買い物に使うとの調査があるそうです。Amazon Echoの正確な販売数は分かりませんが、色々と記事を見てみると1〜2千万台近く(あるいはそれ以上?)売れているのではと想像します。
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ウォルマートがGoogle Homeを欲しかった理由
eMarketerの調査によると、Amazon EchoやGoogle Homeのようなボイス・ファーストのデバイスの成長率は2017年は130%になる見込みで、米国では3,560万人のユーザーが月に一度はそういったデバイスを使うだろうとしています。
先程の日経記事とあわせて考えると、半数の1,800万人近くが音声ショッピングの潜在的ユーザーなのかもしれません。ウォルマートとしても新しい買い物スタイルの顧客をごっそりAmazonに持って行かれてしまう事態を阻止すべく、AIスピーカー技術を持っている企業との提携を急いで模索したのではないかと思いますね。
eMarketerによれば現在の米国AIスピーカー市場ではAmazon Echoが約70%のシェアを持っておりGoogle Homeは約24%で、Googleとしても巻き返しを図る戦略を探していたのではないでしょうか。今回の提携はまさにWin-Winに思いました。
一方のAmazonもAmazon Echoのラインナップを強化しており、先日のプライムデー・セールスではEchoが毎分数千台のペースで売れたとの記事もありました。Amazon Echoのシェアはさらに広がったことでしょう。
もともとGoogle自身はクラウドビジネスでAmazonのAWSと競合関係にありますが、今度は小売ビジネスでも激しい競争が始まりそうです。
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今までに調べた小売業界のニュースについてです。IT業界以上に変化が激しいのではと思うほどに様々な動きがありましたが、その中心はやはりAmazonですね。