米国株への投資を考える際に、やはり自分の好きなもの・馴染みのブランドも投資先として優遇したくなります。ビールもその中の一つです。
目次
アンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD)
概要
自分の好きなビールへの投資を考えると、真っ先に思い浮かぶのがアンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD)ですね。当社のブランドにはバドワイザーやコロナがあります。
長い社名の理由は、現在に至るまでに様々なビール会社を買収してきた歴史のためです。
2008年、ベルギーのインベブが、オランダ・フランスの大手金融機関から融資を受けバドワイザーで知られるアメリカのアンハイザー・ブッシュを買収・合併し、社名変更、CEOにはインベブCEOのカルロス・ブリトが就任した[2]。買収総額は約5兆8000億円で、ビールメーカーの買収では空前の規模となった。2012年、メキシコのグルポ・モデロの未保有株を201億ドルで取得し、完全子会社化した[3]。2016年10月にはイギリスを本拠とするSABミラーの買収(吸収合併)が完了、ビール飲料の世界シェアは3割に達した[4]。
ビール生産量
SABミラーの買収により世界シェアの3割を獲得したアンハイザー・ブッシュ・インベブは、ビール生産量でも世界一の規模を誇ります。
ホップのサプライヤーであるBARTH-HAAS GROUPが毎年発行するレポートを見ると、主要なビール会社の生産量ランキングが分かります。2016年でのビール生産量トップ10は下記のとおりでした。
出典:http://www.barthhaasgroup.com/images/mediacenter/downloads/pdfs/412/barthbericht20162017en.pdf
世界のビール生産量の2割を占めるアンハイザー・ブッシュ・インベブが飛び抜けて大きく、その半分程度をハイネケンが生産しています。日本ではアサヒとキリンがランクインしていますが、規模が全然違いますね。
経営状況
(単位:百万)
2016年に営業キャッシュフローがガクッと落ちていました。SABミラー買収の影響なのでしょうか。ただ営業CFマージンは15%を大きく超えており、強いブランド力を感じます。
ここ5年間の株価推移です。こちらも2016年後半にガクッと株価を下げてますが、それまでは徐々に上げていたようですし、今も株価は上昇中です。この調子でしたら元の株価水準まで戻ることも期待できるのではないでしょうか。
BUD : Summary for Anheuser-Busch Inbev SA Sponsor - Yahoo Finance
当社の配当状況です。昔は四半期ごとの配当でしたが、今は年2回のようですね。
配当利回りは3%を超えており、増配は7年目のようですが、配当性向が100%を超えています。
関連ニュース・情報
クラフトビールへの進出
SABミラーを買収したアンハイザー・ブッシュ・インベブの次のターゲットはクラフトビール市場のようです。
なぜ、ABインベブは日本でクラフトビールメーカーを探しているのか。理由は2つある。
1つは、SABミラーの買収により、ABインベブは世界の白地図をほぼ埋め尽くし、独占禁止法により「もうこれ以上は、大部分の大手メーカーを買えない」フェーズに入ったからだ。事実、SABミラーの買収においても、米国や欧州などでブランド売却を余儀なくされている。
そうなると、次なる成長のために必要なのは地域拡大ではなく商品単価の上昇である。そこで、スタンダードビールよりも高単価のクラフトビールに次なる活路を見出そうとしているのだ。
2つ目は、先進国を中心にビールのトレンドが変化していることだ。クラフトビール大国の米国の小売店では、ABインベブの「バドワイザー」すら、棚の隅に追いやられるのが現状(第6回参照)。そこでABインベブは、クラフトビールメーカーを買収して内部に取り込もうとしているのだ。
巨大になりすぎたがゆえの事情が伺えます。確かに最近のクラフトビールの流行は米国だけでなく日本でも耳にしますし、クラフトビールを飲める・買えるお店が随分増えたと感じます。
Brewers Associationによれば、2016年のビール市場は1076億ドルで、そのうちクラフトビールは235億ドルとのことで、市場規模としてはまだ小さいです。どこまでクラフトビールの人気が継続するかに期待したいところです。
クラフトビール業界の思わぬ反発
既にクラフトビール流行の陰りが出始めているようで、人気が出すぎて大きくなった醸造所は既に「クラフトビール」の定義上そう呼べなくなってしまったり、5000を超えると言われる醸造所によりビールの販売スペース不足や消費者にとって多すぎる選択肢が悪影響を与え始めているようです。既に倒産してしまった醸造所も少なくないとのことで、急激に盛り上がりすぎてしまったクラフトビールの未来が若干心配になります。
ちなみにBrewers Associationによるクラフトビールの定義は下記となります。
- 小さい(Small):ビールの年間生産量が600万バレル以下であること
- 独立(Independent):クラフトビール醸造者ではないアルコール飲料企業による所有・運営が、クラフトビール醸造の25%未満であること
- 伝統的(Traditional):伝統的または革新的な醸造原料とその発酵に由来する風味のビールがアルコール飲料の総量の大部分を占めること(味付けした麦芽飲料はビールとはみなされない)
このように小さく独立であることを重んじるクラフトビール業界では、アンハイザー・ブッシュ・インベブのような大手による買収への反発が生まれているようです。独立系クラフトビールであることを示すロゴのシールを導入・配布するとBrewers Associationが発表し、その取り組みが大手を巻き込み論争を呼んでいます。
そのロゴはこちらのデザインで、ビール瓶や箱に貼られています。このロゴのあるビールはBrewers Association定義のクラフトビール醸造所によるビールであるとひと目で分かりますね。確かにこの取り組みは大手からするとブランド戦略にも影響を与えそうです。
全米がオススメするクラフトビール
バズ的に流行してしまったクラフトビールの将来が気になるところですが、今飲めるビールのトップ10がありましたのでご紹介。
先の定義の通りクラフトビール醸造所は小さいため、このリストのうち日本で目にするものはほとんどないかもしれません。私は1種類のみ飲んだことありました。ぜひともお店やバーで見つけたらトライしたいと思っています。
クラフトビールについて学べるドキュメンタリー
各地で静かなブームを巻き起こし、地域経済の活性化にも一役買っているクラフト ビール。こだわりの味を追求したビール造りに迫るドキュメンタリー。
Netflixで見れる「国を造る」(原題:Creating a Nation)というドキュメンタリーが面白かったです。一念発起してクラフトビール造りを始めた若者たちや、多くの醸造所のインタビューを交えて、彼らのクラフトビールへの愛情と考えを興味深く知ることができました。
予告編はこちらです。興味を持ちましたらぜひ一度鑑賞してみてください。
感想
ビール党としてアンハイザー・ブッシュ・インベブは避けては通れない銘柄です。その強力なブランド力と良好な経営状況も魅力です。配当利回りも3%を超えており、投資先として検討したいですね。
私のような者にとっては「生活必需品」ですし、今後のクラフトビール動向と合わせて銘柄をウォッチしていき、良いタイミングで投資を考えたいです。