ミールキット・デリバリーのブルー・エプロン(APRN)が四半期決算を発表しました。決算としては売上高が予想に届きませんでしたが、同社の株価は9%以上も上昇しました。
- ブルー・エプロンについてはこちら
- ブルー・エプロン(APRN)の2018年第1四半期決算
- チャートで見るブルー・エプロンの四半期決算
- ブルー・エプロンのミールキットがコストコで購入可能に!
- ライバルの多いミールキット市場、勝者が決まるのはこれから?
ブルー・エプロンについてはこちら
ブルー・エプロン(APRN)の2018年第1四半期決算
Blue Apron beats by $0.07, misses on revenue - Blue Apron Holdings, Inc. (NYSE:APRN) | Seeking Alpha
- EPS:-0.17ドル(予想:-0.24ドル)
- 売上高:1億9670万ドル(予想:1億9730万ドル)
ブルー・エプロンの2018年Q1決算はEPSがコンセンサス予想を上回ったものの売上高が予想に届きませんでした。
しかしながら決算発表後に同社の株価は+9%以上も大きく上昇していました。
元々はIPO後の6月末に10ドルを付けていましたからそこから8割ほども株価が下落していたわけですので、元の株価に戻るにはまだまだ時間と好材料が必要と思いますが、回復に向けた良い一歩を歩み始めたようですね。
そもそもなぜ決算内容は不調なのに株価が高騰したのか、もう少し決算内容を見てみましょう。
チャートで見るブルー・エプロンの四半期決算
売上高、損益の比較(単位:百万ドル)
ブルー・エプロンの2018年第1四半期の売上高は、前年同期比で-20%の1.97億ドルでした。
一方で損失については縮小していますね。
売上高の減少の一要因は、同社の配送センターの問題に対処するためマーケティングによる顧客獲得を一時休止していたことが挙げられます。
ブルー・エプロンはIPOを控えた2017年夏ごろ、急成長で手狭になったニュージャージー州ジャージー・シティの配送センターから、ニュージャージー州リンデンに新設した配送センターに切り替えました。ところが全自動化したリンデン配送センターがソフトウェアの不調でトラブル続きとなり、それの調整がつき、混乱が収まるまで新規顧客獲得を控えざるを得なくなりました。
そこで同社はマーケティングを絞り込み、配送センターの立て直しに注力しました。先日の決算カンファレンスコールで問題が解決したことが発表されました。
結果としてマーケティング費も抑えられたことが損失の縮小に寄与したようです。
配送センターの問題は解決済みとのことで、今後は配送にかかるコストの削減がさらに期待できます。
その効果は既に出ており、売上原価が下記の通り減少しており、売上原価率も3%ほど改善しています。
売上原価と売上原価率(単位:百万ドル)
顧客数は回復の兆し。1顧客あたりの平均売上高も増加
配送センター問題や新規顧客獲得の休止もあり、顧客数は前年同期比で-24%の減少となりましたが、前期の12月からは+5%の増加で78万6千人となりました。徐々に顧客が戻ってきた(あるいは新規獲得できた)ようですね。
1オーダーあたりの平均単価は微減ながら、チャートには記載していないですが1顧客あたりの平均オーダー数が17年3月の4.1回から18年3月は4.4回に伸び、結果として平均顧客売上が236ドルから250ドルに上昇しました。
顧客数の推移(単位:千人)
顧客数は2017年Q1の103万人をピークに減少が続いていました。
それが今回の決算でプラスになったことで、再び顧客増加のトレンドを描けるかが今後の期待ですね。
決算はイマイチながら、配送センターのコスト削減施策が上手くいき始めており、また顧客数も回復の兆しが見えて顧客単価も上昇していることから、経営状況の改善見込みに好感してブルー・エプロンは買われたのかなと思いました。
また下記のコストコでの販売も好材料の一つですかね。
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ブルー・エプロンのミールキットがコストコで購入可能に!
ブルー・エプロンのミールキットがコストコで購入可能になるようです。まずは17店舗を対象に試験運用し、将来はさらに対応店舗数を増やす計画です。
コストコで販売する上の写真のようなミールキットはブルー・エプロンの定期便よりもおよそ30%オフの価格で購入可能とのことで、ブルー・エプロンとしては新規顧客獲得のためのお試しキットの意味合いもあるでしょうね。
ブルー・エプロンのミールキットを定期的に利用するのは少々敷居が高くても、コストコでこのミールキットを見かけたら一度は試してみたくなりそうです。この施策が同社の新規顧客の増加にどう貢献するかが興味深いですね。
ライバルの多いミールキット市場、勝者が決まるのはこれから?
既にAmazonやウォルマートのような小売企業も自社独自のミールキットを始めています。こういった小売はブルー・エプロンのミールキットを取り扱ってくれないでしょうね。
またライバルのHelloFreshは既に150万人近くの顧客を獲得しており、また米国でもおよそ90万人の顧客を獲得済みです。小売店舗でのミールキット販売もHelloFreshは欧州で実験済みとのことで、今現在はHelloFreshの勢いのほうが上回っているようです。
まだまだ他にも多くのミールキット・デリバリー・サービスがいますし、この市場での勝者が決まるのはこれからという印象です。2022年には米国のミールキット・デリバリー市場は116億ドル(約1.26兆円)にもなり、小売業の動向と合わせてまだまだ競争は激化しそうですね。