先週のISM製造業景況指数に続いて、サービス業の景気状況を表すISM非製造業景況指数が公表されました。
12月のISM非製造業景況指数も低水準に
12月のISM非製造業景況指数は57.6で、これは前月の60.7から下がるとともに、市場予想の58.5も下回りました。
ISM非製造業景況指数も50を境にして経済活動が上向きかどうかを判断しますので、前月から下がったといえどもまだまだ大丈夫な水準に思います。
ISM製造業景況指数の記事はこちら
そもそもISM非製造業景況指数とは?
今回もこちらの参考文献を参照します。
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ISM非製造業景況指数は製造業以外のいわゆるサービス業を対象にしています。例えば銀行、商店、卸売業などなどですね。
これらサービス業が経済を見る上で重要なのは、雇用とGDPの面で政府支出を除いた民間経済の約7割を占めるからです。
このサービス業の景気状況を知るために、ISM非製造業景況指数はサービス業の購買担当役員を対象にアンケート調査をして指数としてまとめています。この辺はISM製造業景況指数と同じ仕組みですね。
実はまだ日が浅いISM非製造業景況指数
製造業を対象としたISM製造業景況指数は1930年代に作られた指標ですが、ISM非製造業景況指数の方は1990年代にできたばかりの比較的若い指標となります。
そのため、50を境にサービス業が拡大局面にあるのか後退局面にあるのか、実はまだ確かなことは分からないようです。はっきりとしたことが言えるほどには実績が不足しているということですね。
もう一つの違いは、製造業における購買担当役員は事業に直結する重要なポジションである一方で、サービス業の購買担当役員はそれほど重要なポジションではない点が挙げられます。銀行で紙幣を印刷するための紙を購入することは事業自体とはあまり関係ないですね。
そういうわけで、ISM非製造業景況指数はまだ指標としての日が浅いために数値の判断がまだはっきりせず、またそもそもサービス業の購買役務が事業にあまりインパクトが無いことから、本指標の低下がすなわち景気後退の懸念に直結するとは言えないようです。
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ISM非製造業景況指数の各指数
11月と12月の各指数の比較は下記のとおりです。
全体的にはどの指標も前月比でマイナスですね。新規受注(New Orders)と新規輸出受注(New Export Orders)が唯一プラスになってます。
受注がプラスなのは需要がまだまだ底堅いことの表れですね。
雇用は3ヶ月連続で減少しているようで、前に紹介した不完全雇用と合わせて注意しておいたほうが良さそうです。
12月のISM非製造業景況指数は前月比でマイナスでしたが、基準値の50を上回っている点ではまだあわてるような時間じゃないのではと思います。ただいくつかの指標は50近くにまで下がってきてますね。
また経済のサイクルからしてここから一気に好況に傾くことは考えられず、議題としてはいつ景気後退が訪れるかという点なのは変わらないでしょう。ISM非製造業景況指数を見た限りではまだ景気後退までの時間はありそうですが、やはり他の指標と比べてみて冷静に判断していきたいですね。
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