1848年にカリフォリニアで起きたゴールドラッシュは、現代においても色々と興味深い教訓を残していると思います。
ゴールドラッシュの起こりと顛末
ゴールドラッシュ(gold rush)とは、新しく金が発見された地へ、金脈を探し当てて一攫千金を狙う採掘者が殺到することである。特に、1848年ごろにアメリカ合衆国のカリフォルニアで起きたゴールドラッシュのことを指す。
ゴールドラッシュは1848年にジェームズ・マーシャルという人がカリフォリニアのとある川沿いで砂金を発見したのが始まりといいます。その後、金発見の報せが瞬く間に広がり、米国や海外から30万人もの人々が一攫千金を狙って集まってきました。しかしながら、実際に大金を掴めた人はごく僅かだったようです。
今日の米ドルで数百億ドルにもなる金が発見され、極少数の者には莫大な富をもたらしたが、多くの者は来た時と大してかわらない資産のまま故郷に帰った。
(中略)
初期の金探求者はあらゆる費用を勘定に入れたとしても、平均しておそらくは少なからぬ利益を得た。しかし、特にその後に到着した者達の大半はほとんど得られないか、損失を出して終わることになった。
ゴールドラッシュで儲けた人とは
いち早く金の発掘に手を出した人たちは少なからぬ利益を得たようで、そのブームを嗅ぎつけて遅れて到着した人たちはほとんど失敗したとのことです。このあたりは昨今のビットコイン等の仮想通貨に通じるものがありますね。
よく言われる話で若干逸話めいている話ではありますが、このゴールドラッシュで儲けた人たちは、金を掘っていた人たちではなくその周辺でビジネスをしていた人たちだと聞きます。
最も有名な例は、作業員のために丈夫な作業服を作ったところそれがヒットし、今日のジーンズの原型を作ったと言われるリーバイ・ストラウス(現在のLevi'sの創業者)の話でしょうね。
ちなみにあのジーンズのアイデア(リベットを使った布の補強)は、リーバイ・ストラウスではなくジェイコブ・デイビスという人の発明のようです。
1872年、ストラウスはネバダ州リノで洋服店を営むジェイコブ・デイヴィスからの手紙を受け取る。デイヴィスはリガ出身の移民で、ストラウスの上顧客の一人であった。その手紙にはデイヴィスが客のために面白い方法でズボンを作ったことが書かれていた。彼はズボンに金属鋲を用いたのであった。デイヴィスには特許を取得するための資金がなかったため、ストラウスがその資金を提供し、彼らのビジネスに加わったデイヴィスと協同で特許を申請した。
件の特許はこちらで確認できます。確かに発明者はジェイコブ・デイビスとなってますね。
特許 US139121 - Improvement in fastening pocket-openings - Google 特許検索
その他、真偽は不明ですが金を掘るためのスコップやバケツを採掘者に売るビジネスをしてた人たちも儲けていたみたいです。確かに出るかどうか分からない金の採掘よりは、確実な儲けが見込めるスコップのほうが分かりやすいビジネスだったでしょうね。
現代の「ゴールドラッシュ」に対する投資
先に少し触れたビットコインもゴールドラッシュそのものに思います。新たなビットコインを計算により得る作業もそのまま「採掘(マイニング)」と呼びますしね。そうであるなら、その周辺ビジネスとしてのマイニング用PCが現代におけるスコップとバケツでしょうか。
別の「ゴールドラッシュ」としては人工知能ブームが挙げられそうです。人工知能の適用範囲の広さから、今やほぼ全ての産業・ビジネスで人工知能が関係しないものは無いように思われます。ただ金脈の当たり外れと同じように、人工知能を活用したビジネスの全てが上手くいく訳ではないでしょう。
私としては長期投資の観点からはやはりその周辺ビジネスに目を向けたいと思っています。
例えば人工知能を動かすためのプロセッサに目を向けるとNVIDIAやインテルなどの半導体企業になるでしょうし、彼らの中の製造工場を持たないファブレスに対してはTSMCのようなファウンドリが周辺ビジネスになるでしょう。
またさらにプロセッサを含むITを安全・安心に運用できる場としてのデータセンターも強固な周辺ビジネスになると思います。
このように、ブームとなっているもの自体よりも、そのブームを支えるために不可欠なものに対しての投資を個人的には考えたいですね。
周辺ビジネスについて考えた記事です