17歳の高校生が資産運用会社のブラックロックとバンガードをボイコットしようと訴えた理由とは。
ボイコットを訴えた高校生はフロリダ銃乱射事件の生存者
資産運用会社であるブラックロックとバンガードのボイコットを訴えた高校生は、フロリダ銃乱射事件の生存者であるデイビット・ホッグさんです。
#BoycottVanguard #BoycottBlackrock
— David Hogg (@davidhogg111) 2018年4月17日
ホッグさんの主張は、「ブラックロックとバンガードは銃メーカーに投資をする最大規模の投資家。もし彼らを利用しているなら、そのことを彼らに知らせてあげよう」というものです。
銃乱射事件以降、銃規制を呼びかける声が大きくなる中で、企業側もその声に応える動きを見せていました。
例えば小売最大手のウォルマートは銃を購入可能な年齢を21歳に引き上げる方針を発表しました。
さらに今回のボイコットの対象でもあるブラックロックは、自社の手がける一部のETFについて、銃器メーカーとそれを販売する大手小売店の株式を投資対象から除外すると発表していました。この小売には上記のウォルマートも含まれています。
参考記事
そして今回、そのブラックロックが銃器メーカーへの最大手の資産運用会社としてボイコットを訴えかけられているのは、どこか皮肉めいたものを感じます。
ブラックロックおよびバンガードの銃器メーカーへの投資状況
ブラックロックとバンガードはアメリカン・アウトドア・ブランズ(AOBC)の株式所有でトップ3に入る組織です。
AOBC Major Holders | American Outdoor Brands Corpora Stock - Yahoo Finance
アメリカン・アウトドア・ブランズと聞くとアウトドア用品の会社のようですが、元は銃器メーカー大手のスミス・アンド・ウエッソン(S&W)の持株会社で、社名を変更したものです。
ブラックロックとバンガードはまた銃器メーカー大手のスターム・ルガーへの投資に関してもトップホルダーです。
RGR Major Holders | Sturm, Ruger & Company, Inc. Stock - Yahoo Finance
事実として、ブラックロックもバンガードも銃器メーカーの株式についてはトップホルダーといってよいと思います。
ブラックロックとバンガードの今後の動向は
先述の通り、ブラックロックは既に一部のETFにおいて銃器メーカーとその販売に関連する小売会社を投資対象から除外すると発表しています。
バンガードも環境・社会について企業を評価し、また銃器メーカーを投資対象から除外したVanguard FTSE Social Indexを運用しています。
ホッグさんのボイコットの訴えは、銃器メーカーへ投資をしてそのビジネスを支援する組織や企業の姿勢に対してアクションを呼びかけるものです。その意味では、ブラックロックとバンガードの姿勢はまだ不十分に映るのでしょう。
ESG投資の観点で、ブラックロックとバンガードにとっては、銃規制により銃器メーカーのビジネスが著しく毀損され、投資に対するリターンが回収不能となることがまず懸念でしょう。
そして今回のボイコットのように、社会の風潮に反する行動を取る企業であると評判が悪化する、いわゆるレピュテーションリスクの可能性も十分にあります。
最大手の運用投資会社として、ブラックロックもバンガードも社会情勢と規制リスクを見極めながら、投資家の利益を最大化するための方策を取る必要がありますね。恐らく今すぐに銃器メーカーへの投資を撤廃することはないでしょうが、何らかの動きを具体的に見せることになるかもしれません。
個人的にもバンガードのETFに投資をする一投資家として、バンガードおよびブラックロックの動向には注目したいと思います。