Googleの親会社Alphabetが時価総額1兆ドルの大台に到達したようです。
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- Google親会社のAlphabet、時価総額1兆ドルへ
- Alphabetのビジネス振り返り
- 買収によるGoogle Cloudの強化
- サンダー・ピチャイ氏のリーダーシップに期待?
- Googleを取り巻く問題への対処にも要注目
Google親会社のAlphabet、時価総額1兆ドルへ
先日の16日にGoogle親会社のAlphabetが初めて時価総額1兆ドルに達しました。もはや想像すらできない金額ですね。
米国の企業で時価総額1兆ドルを超えている他の企業はAppleとMicrosoftだけとのことです。Amazonは昨年に一瞬だけ1兆ドルに達しましたが今は株価下落により9,000億ドル台に戻っています。
株価の好調さが伺えるAlphabet(Google)ですが、彼らの一体何に期待が集まっているのでしょうか。
Alphabetのビジネス振り返り
Alphabetのビジネスについて振り返ってみましょう。直近の四半期決算(2019Q3)からセグメント別の売上高割合を見てみると下記のチャートのようになります。
皆さんご存知のようにAlphabetの売上高はほとんどが広告によるものですね。売上高全体の8割以上(83.7%)を広告売上が占めています。
次に大きいのが15.9%を占めるその他部門です。広告以外の事業がまるごと含まれているため内訳は分かりませんが、Google Cloud、アプリ、ハードウェア、ライセンスなどの事業が含まれています。
最後に極々僅かに残っているのがその他の賭け(Other Bets)部門ですね。割合的には0.4%ほどなので売上高への影響はほぼゼロと言えそうです。ここは自動運転テクノロジーのWaymo、ライフサイエンスのVerily、バイオテックのCalicoなど、Alphabetにとって将来重要になりそうな新規ビジネスをまとめた部門です。
現在のAlphabetのビジネスを見るに、やはりまずは広告事業を成長させられるかが気になりますね。
次にその他部門の、特にAWSやAzureに押され気味なGoogle Cloudがどこまで伸びるかでしょうか。
買収によるGoogle Cloudの強化
先日にGoogleはモバイルアプリ開発プラットフォームのAppSheetの買収を発表しました。AppSheetはGoogle Cloudに取り込まれ、Googe MapsやSheets、FormsなどのGoogleサービスを使ったモバイルアプリ開発がより簡単になるそうです。
また6月にはビッグデータ分析サービスのLookerを26億ドルで買収すると発表しました。こちらもGoogle Cloudに分析サービスとして組み込まれるのでしょう。
Google Cloudに関係すると思われる企業の買収が続いていますし、Alphabetとしてもまだクラウドビジネスは諦めていないということでしょうね。
さらに噂レベルですがあのSalesforceを2,500億ドルで買収するとの報道が急に出てきましたね。
流石にこの買収は実現しないのではと思いますが、上の記事によればGoogle CloudのクリアンCEOは大型のクラウドサービス買収を狙っている可能性もあるようです。
「クリアンCEOは大型買収を狙っていて、候補として4社の名前があがっている。財務・人事クラウド管理のワークデイ(時価総額370億ドル)」、サイバーセキュリティのパロアルト・ネットワークス(同230億ドル)、クラウド・ソフトウェアのサービスナウ(同53億ドル)、データ分析プラットフォームのスプランク(同230億ドル)がそれだ」
昨年に当のSalesforceは157億ドルでTableauを買収して市場を驚かせましたが、それをさらに上回る規模の買収が実現するかもしれませんね。
サンダー・ピチャイ氏のリーダーシップに期待?
先月にGoogle創業者のペイジ氏とブリン氏がAlphabetのCEOの座を降り、変わってサンダー・ピチャイ氏がAlphabetのCEOに就任するとのニュースがありました。創業者がトップの座を降りるのは企業にとって影響が大きそうです。
ピチャイ氏はGoogleのCEOも続けるとのことなので、実質的にはAlphabetとGoogleのすべてを統括するポジションということですね。
ここ何年かGoogleの顔としてすっかり定着した感のあるピチャイ氏が全体のリーダーシップを発揮してくれるのは好感されるのではと思いました。トップが複雑になるよりずっと良いでしょうしね。
もともとペイジ氏、ブリン氏とも最近は積極的に経営には関わっていなかったようで、実務の面でもピチャイ氏がトップになることは市場から好感されているようです。
2人の退任はGoogleの次のステップとして評価されています。2015年にAlphabetを持ち株会社とする体制に移し、Page氏がCEOに、Brin氏が社長に就任してから、2人はそれぞれが関心を持つ領域に活動を絞り込み、傘下企業の経営からは距離を置いていました。それでもAlphabetのトップであり続ければ、Googleを含む傘下企業の舵取りを期待されます。何もせずとも進んでいく追い風の時ならともかく、逆風に直面している今は実際に舵を握る人に任せるべきです。だから、伝説的な創業者の引退宣言にも関わらず、退任発表がAlphabet株に影響することはありませんでした。
Webの王者Googleに逆風、2020年は創業以来の転換期 (2) 創業者の突然の退任発表でも株価が落ちなかった理由 | マイナビニュース
また市場はピチャイ氏の報酬が会社業績に連動していることや、財務の透明性が上がるかもしれないことなども好感しているようですね。
好調の理由として1つ挙げられるのは、ピチャイ氏の報酬が会社の業績に直結していることを、投資家たちが気に入っているらしいことだ。
(中略)
アナリストらは、トップの交代によってAlphabetの投資家への財務報告が透明になることにも期待している。
(中略)
Alphabetが大規模な株式買い戻しを認める期待が高まっているほか、Pichai氏のボーナスの大部分が株価の実績と連動していることから、初めての配当支払いが行われるかもしれない。
Googleを取り巻く問題への対処にも要注目
色々と期待の高いAlphabetですが、彼らを取り巻く問題にも目を向けたほうが良さそうです。
記事にあるように、ここ最近は個人情報保護やプライバシー保護の話題が多く、Googleもよく名前が挙がっていました。
ちょうど先日にはChromeブラウザがサードパーティCookieのサポートを廃止するとのニュースもありましたね。
またここ最近のGoogleの買収はお世辞にも上手くいっていないのではとの指摘もあります。
昨年にウェアラブル端末のFitbitの買収を発表しましたが、Googleが何を目的に買収したのかは今のところは目立った情報がないですね。
上の記事ではここ10年のGoogeによる買収を振り返っていますが、どれも買収後に目立った効果をGoogleにもたらすことなく消えてる印象です。
あのAlphaGoを開発したDeepMindもGoogleにより買収された企業ですが、現在まで収益貢献するプロダクトを生み出せてはいません。もしかしたらGoogleのサービスを裏で支える何かを作っているのかもしれませんが。
そんなGoogleがクラウドサービス強化のために色々と買収を続けていますが果たして上手く取り込まれるかは未知数ですね。
時価総額1兆ドルを突破し、今後の事業成長も会社の新体制にも期待したいところですが、同時に抱えた問題の対応や買収効果への不安などネガティブ要素にも目を光らせておきたいところです。
人材や技術力は文句なしと思いますのでぜひ市場を納得させられる成長力を見せつけて欲しいですね。