先日のeSportsイベントで、イーロン・マスクも設立に加わったOpenAIが開発した人工知能がプロのプレイヤーを破る快挙を成し遂げました。人工知能の絶え間ない進化に驚嘆する一方で、当のイーロン・マスクは人工知能への警戒を更に強めています。
人工知能が初めてeSportsのプロプレイヤーを破る
The OpenAI bot beat its human opponent, a pro gamer called Dendi, in less than 10 minutes of play.
OpenAIのボットが人間の対戦相手(プロゲーマーのDendi)を10分かからず倒した。
OpenAIの人工知能がプレイしたゲームは「Dota 2」で、その国際大会が現在開催中とのことです。
Dota 2については未プレイですが、チームに分かれて対戦するゲームみたいですね。
人工知能の学習方法は、自身を仮想対戦相手として対戦を繰り返すことで、どういった戦術が有効かを1から学んでいったとのことです。学習にかかった期間は2週間で、その後はプロプレイヤーとの対戦でさらに学習していったそうで、学習の過程の動画も公開されていました。いずれは誰もがこの人工知能ボットと対戦可能にする予定とのことです。
イーロン・マスクの反応
この人工知能を開発したOpenAIという非営利組織の設立にはイーロン・マスクも参加しています。
OpenAIは、人工知能を研究する非営利団体である。人類全体に、害をもたらすよりは、有益性があるやりかたで、オープンソースと親和性の高い人工知能を、注意深く推進することを目的として掲げている。
OpenAIの目的は人工知能の行く末をしっかり見据えた上でその発展に寄与することと思います。イーロン・マスクも機会があるたびに人工知能への危機感について述べていました。
Musk氏は知事らに対して、「私は最先端のAIに触れられる立場にある。人々はAIを本当に懸念すべきだと思う。私は警鐘を鳴らし続けているが、ロボットが通りを歩いて人間を殺戮するのを実際に目にするまで、人々はどのように反応すればいいのか分からない。こうした脅威は現実感が非常に希薄であるように思えるからだ」と述べた。
そのイーロン・マスクは自身のTwitterにて今回のeSportsでのニュースについてツイートしています。
OpenAI first ever to defeat world's best players in competitive eSports. Vastly more complex than traditional board games like chess & Go.
— Elon Musk (@elonmusk) 2017年8月12日
If you're not concerned about AI safety, you should be. Vastly more risk than North Korea. pic.twitter.com/2z0tiid0lc
— Elon Musk (@elonmusk) 2017年8月12日
Nobody likes being regulated, but everything (cars, planes, food, drugs, etc) that's a danger to the public is regulated. AI should be too.
— Elon Musk (@elonmusk) 2017年8月12日
最初のツイートでは冷静にOpenAIのボットがプロプレイヤーを破ったことを報じていますが、その直後には「もし人工知能の安全性について心配していないなら、心配すべきだ。北朝鮮よりも大いにリスクがある。」とかなり強めに警鐘を鳴らしています。そこに添えられた写真には以下のメッセージが載せられていました。
IN THE END THE MACHINES WILL WIN
最後には機械が勝つだろう
更にその後に「誰もが規制されることは好まないが、市民に対して危険なもの全て(車、飛行機、食べ物、ドラッグなど)は規制されている。人工知能もそうすべきだ。」と人工知能の規制に関する意見を表明しています。
OpenAIによる目を見張る人工知能の進化に対して、イーロン・マスクとしてはますます人工知能は人類の手に負えるうちに規制すべきとの考えを強めたみたいです。先程のCNNの記事でも彼の考え方に関する発言がありました。
「AIは、事後ではなく事前に対策を講じる必要があると私が考える、極めてまれなケースである。事後に規制しても手遅れだと考えているからだ」
現代は何から何まで人工知能の言葉が飛び交う時代となりましたが、そのやや過熱気味のブームも規制という形でそろそろ終わるのかもしれません。厳しい規制が課せられるとビジネス成長に影響が出そうですが、その反面、規制産業はビジネスチャンスが多く眠る業界でもあります。もし人工知能の規制が実現したときに影響を受ける企業と恩恵を受ける企業を冷静に見極めたいと考えています。