バロンズで小売業の勝ち組9社を紹介する記事がありました。Amazonの猛威が振るう中、今後も生き残るだろうと言われる9社とは、どの企業のことでしょうか。
バロンズの選んだ、勝者の可能性のある小売業9社
記事の中で選ばれた小売業の9社は下記でした。
- ベスト・バイ(BBY)
- ノードストローム(JWN)
- ホーム・デポ(HD)
- コストコ(COST)
- ウォルマート(WMT)
- ロウズ(LOW)
- サザビーズ(BID)
- GGP(GGP)
- パーティー・シティー(PRTY)
このうち、ウォルマートとコストコについては生活必需品セクターの調査の中で触れました。どちらもネット通販の覇者であるAmazonへの対抗策が課題ではないかと考えていました。バロンズの中でもそのあたりに言及されています。
オンラインショッピングは急速に成長中だが、それでも従来型店舗は残る
この4月は食料・ガソリン・自動車・レストランを除く商品の販売の22%がオンラインだったと述べています。その成長率は年率15%とのこと。その中でAmazonのシェアは40%を超えるそうです。
そのような激しい変化の中にある小売業ですが、先程紹介した9社のような従来型の店舗ビジネスもAmazonに対して十分に対抗可能であると述べられています。
従来型店舗が提供するオンラインショッピングと違うサービスの一つは接客ですね。高級デパートとして知られるノードストロームは昔から都市伝説的な顧客サービスで有名でした。

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またAmazonが苦手とするであろう点として、専門商品の配送に触れています。住宅リフォーム用品を扱うホーム・デポとロウズならツーバイフォーの建材も配送できますし、パーティ専門用品のパーティー・シティーだったら短時間配送が必要なヘリウム入り風船も配送可能です。どちらも現在のAmazonが苦手または不可能な配送をサービスとして保有しています。
一方で、Amazon側もそのような自社の弱みは当然認識していると考えられます。先日はAmazonが家具販売に本格参入するのではとのニュースが報道されていました。家具販売は届けて終わりではなく家の中への設置まで含めてのサービスですので、このラストワンマイルを取り込む姿勢は、建材やヘリウム入り風船を扱う彼らにとっても要注意でしょう。
実店舗型企業のオンライン化、オンラインショッピングAmazonの実店舗化
ウォルマートやノードストロームといった従来の実店舗型企業は近年急速にオンラインショッピングでの売上を伸ばしています。ノードストロームでは売上の1/4をオンラインショッピングが占めるそうです。ウォルマートもオンラインショッピングの取り扱い商品数が5000万商品になるなど堅調な成長を見せています。
Amazonは徐々にではありますがオンラインから実店舗へビジネスを伸ばしているようです。鮮度が命の食品はネット通販化が難しい商品ですが、注文商品の受け渡し拠点を開設することでウォルマートなどへ対抗しています。
またオンライン書店の王者としてリアル書店のオープンも進めているようです。分かりやすいジャンル分けや現金払い不可の設定など、Amazonらしさが随所に感じられる書店です。お試しにぜひ日本にもオープンしてほしいところです。
従来型実店舗企業とAmazonのビジネス戦略がどこで交差するのか、非常に興味深いです。どちらも実店舗+オンライン+αのオムニチャネル化は避けられないでしょうし、今後も1社だけがあらゆる商品を取り扱うわけではないことから、やはりどこかで住み分けが発生するのかもしれません。
生活必需品セクターという意味では長期投資の候補として外せないセクターであり、将来に渡り存続する企業にぜひ投資を検討したいところですが、もうしばらくは動向を注視したほうが良いように感じました。