IBMが2018年Q1の決算を発表しました。EPSも売上高も予想を超える内容でしたが、発表後の時間外取引で大きく株価を下げる結果となりました。
IBMの2018年第1四半期決算
https://seekingalpha.com/news/3346255-international-business-machines-beats-0_06-beats-revenue
- EPS:2.45ドル(予想を0.06ドル上回る)
- 売上高:190.8億ドル(予想を3.7億ドル上回る)
- ガイダンス:2018年通期 EPS 13.80ドル(予想:13.84ドル)
IBMの2018年第1四半期決算は、EPS・売上高がコンセンサス予想を上回るないようでした。
ただガイダンスの方は若干予想を下回っていますね。
決算発表を受けての時間外取引で、IBM株価は-6%近くまで下げていました。
どこか既視感のある決算発表だと思ったら、前回の2017年Q4決算も同じような内容でしたね。
この時もガイダンスがコンセンサス予想に届かなかったです。やはり引き続き利益の改善が課題ですね。
チャートで見るIBMの四半期決算
売上高と利益(単位:百万ドル)
売上高と利益について前年同期と較べてみます。
売上高は約180億ドルから190億ドルへ+5%の成長でした。
また売上総利益(Gross Profit)は+3.8%で約82億ドルとなりましたが、売上総利益率(Gross Profit Margin)は若干のマイナスとなっています。
当期純利益(Net Income)もマイナス成長で、17.5億ドルから16.8億ドルに減少していました。
この辺の利益の成長鈍化の懸念から、IBMの株価が大きく売られたのではと思います。
部門別の売上高(単位:百万ドル)
各部門の売上高比較です。部門別ではほぼ全ての部門で増収となっていますね。
Watson関連を含むCognitive Solutionsで約6%の増収、メインフレーム等のレガシー・ビジネスであるSystemsが7.5%の増収と大きく伸びています。
部門別の売上総利益率
一方、売上総利益率では1部門を除き利益率が悪化していました。利益改善の課題はほぼ全ての部門に関する課題のようです。
利益率の悪化はレガシーのSystemsが最も大きいですね。なんとか改善の手を打てればよいのですが。
戦略的必須事項の売上高(単位:十億ドル)
IBMが戦略的必須事項(Strategic Imperatives)と位置づける製品の売上高と成長率です。
今回の決算ではセキュリティの成長率が+60%と大きく伸びたようです。
売上高ではアナリティクスとクラウドが大きく、またプラスの成長を示していますね。
唯一マイナスなのはソーシャルでした。確かにIBMとソーシャルはちょっと結びつかない印象ですかね。
この戦略的必須事項の成長率を前年同期比で見てみると下記のようになります。
今回好調だったセキュリティを除いた全ての部門で成長率は下がっています。特にソーシャルはずっとマイナス成長だったようですね。
2017年Q1はクラウドの成長率が35%と好調でしたが、今回はそこから大きく下げてました。他も似た感じです。成長鈍化が見え始めているのか、ちょっと心配ですね。
一方、今回好調のセキュリティは相当大きく成長したようです。世の中の動向としても個人情報漏洩などのスキャンダルが多く、セキュリティはニーズが高まっているのでしょうね。
IBMとしては、利益率をどうにかして改善することが先決のようです。次の四半期決算の発表時に改善の兆しが見られないと、また株価を下げるかもしれませんね。
またセキュリティ以外の戦略的必須事項は成長をキープできるかが課題に思います。こちらも合わせて次の四半期決算での発表を楽しみにしてます。
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