アパレル大手のGapが四半期決算を発表しました。ここ最近はあまり好調ではなかったようですが、今回の決算は良い内容でした。同社の復調を支えた要因を調べてみます。
Gap(GPS)の四半期決算
Gap beats by $0.03, beats on revenue - The Gap, Inc. (NYSE:GPS) | Seeking Alpha
- EPS:0.61ドル(予想を0.03ドル上回る)
- 売上高:47.8億ドル(予想を1.1億ドル上回る)
- ガイダンス:2018年EPS 2.55〜2.70ドル、既存店舗売上は同じか微増の見込み
Gapの四半期決算はEPSと売上高がともにコンセンサス予想を上回る好決算でした。
2018年のガイダンスも成長見込みです。
ブランド別の店舗売上成長率は次のとおりでした。
- Gap:0%
- Old Navy:9%
- Banana Republic:1%
他と比べてOld Navyの高成長が際立ちますね。
チャートで見るGap
ブランド別の売上高の推移(単位:百万ドル)
Gapの主要なブランドはGap、Old Navy、Banana Republicの3つです。これらの売上高の推移を見てみましょう。
まず売上高全体としては2014年をピークに減少傾向にありましたが、2017年に前年売上を超える結果となりました。
売上高はGapとOld Navyが大部分を占めていますね。当初はほぼ同じかGapがちょっと多い割合でしたが、徐々にGapの売上高が下がる一方でOld Navyは売上を伸ばしてきました。
2017年での売上高の割合は下記のようになります。Old Navyは売上の5割に迫ろうとしていますね。
ブランド別の売上成長率
ブランド別の売上成長率を見てみます。
2012年では似たような成長率でしたが、GapとBanana Republicはそこからマイナス成長に陥ってしまいました。
一方、Old Navyは2015年に0%になるものの、その後はプラス成長を維持しています。2017年時点でプラス成長している唯一のブランドとなりました。
2017年の売上高が回復したのもOld Navyの成長による部分が大きいでしょうね。
店舗数の推移
全店舗数の推移
Gap全体の店舗数推移です。2015年までは店舗数が増加していましたが、そこから現在まで店舗の閉店が続いている状況ですね。
北米のブランド別店舗数の推移
Gapの主戦場である米国の店舗数推移をブランド別に見てみます。
当初はやはりGapの店舗が最も多かったですが、そこから2017年までGapの店舗数はほぼ同じペースで減少し続けています。
Old Navyは少しずつ店舗数を増やし、2012年にはGapの店舗数を上回りました。そのまま店舗数を増やし続け、現在ははっきりとGapを逆転していますね。
売上高、成長率、店舗数のどの面でも、今のGapの成長を支えているのはOld Navyだと言えると思います。
かつて日本にも店舗のあったOld Navyが撤退したわけ
ここからはちょっと余談です。
Old Navyは1年ほど前まで日本にも店舗がありましたが、2017年1月に全店閉店となり日本から撤退しました。
北米でのOld Navyが好調なのと対照的で非常に面白いですね。記事によれば撤退理由としては大きく2つあるようです。
1つ目は、冒頭で示した年間売上の推移を見て分かるように、2015年〜2016年に売上が減少した点です。この結果、世界的にリストラや店舗閉店をせざるを得なくなったため、日本撤退の構造改革に繋がったようです。
2つ目の理由として、既に日本にはユニクロやGU、H&M、ZARAといったファストファッションがしのぎを削っており、特にOld Navyと価格帯の似ているGUの存在が大きかったようです。
アパレルブランドをグローバル展開するときには、特に2つ目の理由のようにその国でシェアを持っているブランドとの競争や、その国の考え方や嗜好の違いなど、当然ながら簡単にはいかないですね。
Old Navyが日本を撤退した一方で、ユニクロは米国で苦戦しているようで、どの国でも同じような状況なのではないでしょうか。