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【ESG投資シリーズ①】だれがESG投資をしているのか?

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何年か前からESG投資という言葉を見聞きするようになってきました。「地球に優しい企業に投資をすることかな」と漠然としたイメージを持っていましたが、詳しく調べてみるとそのような簡単なイメージで捉えられるものではないことが分かってきました。特に長期投資家の目線では無関係でいられない考え方だと思いました。

 

 

参考文献

ESG投資について調べるにあたって参考にした書籍は下記となります。

 

ESG投資 新しい資本主義のかたち

ESG投資 新しい資本主義のかたち

 

 

だれが・なぜ・どのようにESG投資をしているのか

ESG投資のESGとは環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)のことです。ESG投資とはこれらの観点を投資に組み込むことを意味します。

 

だれがESG投資をしているのか

積極的にESG投資を推進している組織としては、公的年金や企業年金を運用する機関投資家が挙げられます。日本では厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っている年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)が著名ですね。

そのGPIFの投資原則を見ると、ESGを考慮した投資をすることがしっかり明記されています。

[4]   スチュワードシップ責任を果たすような様々な活動(ESG(環境・社会・ガバナンス)を考慮した取り組みを含む。)を通じて被保険者のために中長期的な投資収益の拡大を図る。 

投資原則・行動規範等 | 年金積立金管理運用独立行政法人

 

その他、ESG投資をしている規模の大きな機関としてはノルウェー政府年金基金やオランダのABPなどが挙げられます。

投資運用会社としてはブラックロックやバンガード、ステート・ストリートといった著名な会社もESG投資を明言しています。

 

責任投資原則とは

ESG投資が広く知られるきっかけとなったのは、2006年に国連が機関投資家に対し提唱した責任投資原則(以下、PRI:Principles for Responsible Investment)です。この原則は下記6つの原則から成ります。

  1. 私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。
  2. 私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます。
  3. 私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます。
  4. 私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。
  5. 私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。
  6. 私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。

責任投資原則 - Wikipedia

原則の中にESGと言う言葉が使用されていますが、ESG投資の名称はここから来ています。

 

このPRIの特徴は、単に文章として原則を示しただけでなく、PRIに賛同した機関投資家に署名を求めた点にあります。署名をするということは機関投資家がESG投資をすることをコミットすることに他ならず、だれがESG投資をしているのかが明確になります。GPIFも2015年にPRIに署名しました。

 

つまり、「だれがESG投資をしているのか」への答えの一つとして、「PRIに署名している組織」を挙げることができます。もちろんPRI署名をしなくともESG投資を明言している組織も少なくないです。

 

今現在、PRIに署名してESG投資を誓約している組織は2,000近くにまで増えています。具体的な組織名はPRIのホームページで検索可能です。

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Signatory Directory | Principles for Responsible Investment

  • アセットオーナー:公的年金や企業年金など資金の最終的な出し手となる投資家(例:GPIF)
  • 運用機関(Investment Managers):資金の運用を受託する専門組織(例:信託銀行、アセットマネジメント会社など)
  • サービス提供者(Service Providers):企業のESG情報を評価する評価機関や議決権行使の助言会社など

 

PRIに署名したアセットオーナーや運用機関の運用資産残高の推移

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source: About the PRI | Principles for Responsible Investment

 

2017年までのPRI署名投資家による運用資産残高の推移です。オレンジが総額、青がアセットオーナーのみの運用資産残高で、単位はどちらも兆ドルです。

 

2017年時点でESG投資をしている投資家・運用機関の投資総額は68.4兆ドルになり、日本円でおよそ7,300兆円もの規模になっています。

アセットオーナーだけでも16.3兆ドル(約1,740兆円)になるようです。非常に大きな資金がESG投資に投じられていますね。

 

PRI署名数の推移

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PRIに署名した投資家や運用機関の数も順調に増加していますね。2017年のデータは4月時点のもので、最新データでは先に見たように合計1942(うちアセットオーナーが372)となっています。

 

参考文献によると、運用資産残高でみた上位10機関のうち7機関がPRIに署名済みであり、上位30まで見た場合では15機関が署名済みとのことです。将来的にはこの上位機関の署名も増えるのではと思いますね。

 

 

ESG投資をしている組織としてはPRIに署名しているアセットオーナーや運用機関が挙げられ、身近なところでは日本のGPIFがESG投資をしていることが分かりました。

それではなぜ彼らはESG投資を推進しているのでしょうか。7,300兆円という途方もない規模で、かつ規模が今も増大しているのはなぜでしょうか。次回はこの「なぜ」についてまとめたいと思います。

 

ESG投資 新しい資本主義のかたち

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