ユーエスがはじめて米国株を学ぶブログ

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【TMUS】Tモバイルとスプリントが合併合意。5G時代で先手を打てるか。米モバイル市場は3強時代へ【S】

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長らく噂のあったTモバイルとスプリントの合併が合意に達しました。まだ規制当局の審査待ちですが、無事に認可されれば米モバイル市場は3強時代に突入です。

 

 

Tモバイルとスプリントが合併合意。Tモバイルがスプリントを買収へ

jp.techcrunch.com

www.bloomberg.co.jp

 

両社の合併にあたり、いくつかポイントを整理してみましょう。

  • TモバイルUSがスプリントを株式交換で265億ドル(約2兆9000億円)相当で買収することで合意 

  • 合意条件では、Tモバイル親会社のドイツテレコムの持ち株比率が42%、ソフトバンクが27%。残りの31%は公開市場で取引される

  • 27日の終値に基づく時価総額はスプリントが260億ドル、Tモバイルが550億ドル。統合会社は約600億ドルの純負債も抱える

  • 統合会社の携帯電話契約者数は1億人近くとなり、米国ではベライゾンに次ぐ第2位となる

  • 統合会社の社名は「Tモバイル

  • 統合会社の最高経営責任者(CEO)にはTモバイルのジョン・レジアCEOが就任。ソフトバンクの孫正義社長は新会社の取締役となる

  • Tモバイルは低周波数帯、スプリントはそれより高い2.5ギガヘルツの周波数帯をそれぞれ多く保有。補完的な無線通信用の周波数帯を保有していることは、5G通信網を構築する上で戦略的優位となる可能性がある

  • 統合契約がまとまれば、米国内で約8万人の正規従業員を追加する予定

  • 今後は規制当局による審査をクリアできるかが最大の課題。これはアメリカ携帯キャリヤとして第3位と第4位の企業が合併するというだけでなく、両者を外国資本(ドイツテレコムとソフトバンク)がコントロールしているため

 

まだ合併が無事に完了するかはわかりませんが、 もしそうなった際にはAT&T、ベライゾンとともに米国モバイル市場の3強時代となりますね。

 

各社の売上高など

年間売上高の比較(単位:百万ドル)

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現状ではAT&Tがおよそ1,600億ドル、ベライゾンが1,260億ドルの売上高に対し、Tモバイル+スプリントは740億ドルほどです。

2017年の売上高比較では、Tモバイル+スプリントでもまだまだAT&Tとベライゾンからは差をつけられていますね。

この差がどこまで縮まるのか、あるいは差が広がるのかが今後の見ものです。

 

契約者数の比較(単位:百万人)

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source: • US Wireless/cellular subscribers by carrier 2013-2017 | Statistic

各社の契約者数の比較です。数値は2017年Q4(10〜12月期)時点での値です。

現在、契約者数のトップはベライゾンで、およそ1.5億人(件?)ですね。

Tモバイル+スプリントは1.26億人となり、3強の中でも遜色ないレベルになる見込みです。

このグラフの数値は携帯電話以外の契約件数も含むため、グラフ上はAT&Tの方がまだ大きいですが、上のニュース記事では米国で第2位の携帯契約数になるとありましたので純粋に携帯電話の契約数では米国第2位になるということなのでしょう。

 

Tモバイルの「非常識」な戦略でキャリアの常識を破壊し続ける

toyokeizai.net

Tモバイルは2013年から「Uncarrier(アンキャリア)」という名の施策を続けています。

キャリアの常識に縛られない、キャリアらしくないことをしようという想いでしょう。

 

アンキャリア施策はすでに10を超える。「料金プランの一本化」「解約手数料(2年縛り)廃止」「端末のリース契約で、年に3回最新の端末に乗り換えられる」「通話・データのローミング無料」「音楽ストリーミング、ビデオストリーミング無料」「Wi-Fiルーター無償配布、Wi-Fi経由での音声通話対応」「データ通信量の翌月繰り越し」「ビジネス回線ユーザーの個人回線割引」などがある。

Tモバイルは、なぜ驚異的な成長を遂げたのか | スマホ・ガジェット | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

悪名高い2年縛りの撤廃やデータ通信量の繰り越しなど、消費者目線で見たときにこれが欲しかったと言いたくなる施策ばかりですね。

 

昨年9月からは一部顧客を対象にNetflixの無料提供を発表しました。

www.bloomberg.co.jp

TモバイルUSは6日、同社の無制限データプランで少なくとも2回線を持つ顧客を対象に、米ネットフリックスの動画ストリーミングサービスを無料で提供すると発表した。携帯通信各社は激しい顧客獲得競争を繰り広げてきたが、動画サービスを巻き込む形で戦線がさらに拡大していることをあらためて裏付けた。 

 

こうした新しい取り組みは消費者に非常に好意的に受け取られており、ここ最近は他のキャリアを大幅に上回る純増数を記録しています。

携帯電話の新規契約件数(プリペイド、タブレットは除く)は89万1千件の純増と、首位ベライゾン・コミュニケーションズ(43万1千件)、2位AT&T(32万9千件)、4位スプリント(18万4千件増)の純増水準を大幅に上回った。

米携帯TモバイルUS、純利益約7倍 10~12月期、法人減税効果で :日本経済新聞

 

携帯契約者数では米国第2位の見込みで、かつ純増数は他のキャリアと大きく差をつけてなお成長中ですので、Tモバイル+スプリントの新会社がこのまま契約者数で米国トップを取る日もそう遠くないのかもしれませんね。

 

個人的にはAT&Tとベライゾンに投資をしていますが、3強時代となった暁にはTモバイルの動向に今まで以上に注意をはらいたいと思います。今のところTモバイルは配当を出していませんが、将来はどうなるか分かりませんしね。

 

 

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